2012/12/12

大地憐れみの令

ビルマへの投資の増大に伴い、ヤンゴン辺りでは地価がとんでもなく上昇しているらしい。

日本にいるビルマの人々の中にも、いつか帰る日のためにヤンゴンに土地や家を所有している人もいるが、かつては二束三文の価で購った土地も、今ではその数百倍となっているともいう。

そのため、トラブルも生じている。これらの在外ビルマ国民に土地の管理を任されていた人の中には、名義をこっそり変えて自分のものにしてしまう輩もいるのだそうだ。

このように地価が上昇するのは、住居やマンションや商業施設や工場として利用したいという人や企業でヤンゴンが溢れかえっているからだが、ヤンゴンの植民地時代の古い建物に非常な魅力を感じているわたしとしては、少々残念でもある。

わたしが最後に行ったのは2006年のことだが、今ではずいぶん変わってしまったことだろう。

ところで、ヤンゴンでは地下室を作るのが禁止されているため、今のようなヤンゴン挙げての新築ラッシュでも人々はずいぶんと苦慮しているらしい。本来ならば地下に設けたい駐車場を一階部分に設置するとかしているとのこと。

なぜ、地下室が禁止されているのか。この話をわたしにしてくれたBRSAの若いビルマ人は「反政府活動家が逃げ込まないように、ですよ」と説明してくれた。それに、地下室があれば御法度の秘密集会だって簡単に開ける。

実のところは、地質上の理由でもあるのかもしれない。だが、なんにせよ、もし彼が言う通りならば、地下室禁止令を撤回しないビルマ政府はまだ政治的弾圧という手法を捨て去っていないということになる。また、これが真実でないとしても、人々が現在のビルマ政府をどのように見ているかが、この噂から窺い知れようものだ。