2008/04/29

在特

難民申請資料作成・翻訳を手伝ったカチン人のDNさん母子が今日、特別在留許可もらう。妻と幼児を残して強制送還された夫は、ビルマを逃げ回った後オーストラリアに逃げ、難民申請中。これで家族3人が一緒に暮らせる日が近づいた。

週末

週末の出来事。

1)26日の大使館の抗議行動で警察・機動隊とビルマ活動家が衝突し一人逮捕、多数が負傷した。
逮捕された活動家は友人。負傷した人々にも多くの友人が含まれていた。このひどい「弾圧」の真相についてはいずれ書く予定。

2)カチン民族機構(日本)の主催したベネディクト・ロジャーズ氏と秋元由紀氏のシンポジウム。これもいずれ報告予定。

アルコール依存症のカレン人の話。

部屋で一人で酒を飲んでいると、外から「あんたのために棺を作ったからオイデ」と言いながらノックする者がいるので、出てみるが誰もいない。不思議に思いながら部屋に帰るが、ノックはしばらく聞こえていた。

依存症の引き起こす幻聴によるものであろう。謎の言葉はビルマ語でなく日本語だったというのが面白い。

同席していた別のカレン人曰く
「よかった。ハイ行きます、って答えていたら死んでいたに違いない」

アルコールと精神障害

アルコール依存症のビルマの友人が入院したとの連絡が入り、都内の病院に行き、医師の先生たちから今後の治療について説明を受ける。

そして、深夜にアラカン人の友人から電話。ある友人の頭がおかしくなったのでどうしたらよいかという相談。尋常でない振る舞いに警察に相談したら、入管に行けと言われたとのこと。港町診療所にまず行った方がよい、という結論に達す。

2008/04/25

母語

難民認定申請書には申請者の母語とそれ以外にできる言語を記す欄がある。

あるカレン人が母語の欄にビルマ語と記した。

そこで「あなたはカレン人だから母語はカレン語ではないのですか」と聞くと、そのカレン人の女性は驚いた顔で答えた。

「マザー・ランゲージを書けと言われたから、ビルマ語と書いたのです。私の父はカレン人ですが、母はビルマ人なのです」

在外投票

軍事政権が自分たちに都合良く作った憲法草案の賛否を問う国民投票が5月10日に行われるが、それに先立ち国外在住のビルマ人の在外投票が各国の大使館で実施される。

日本では品川のビルマ大使館で4月26日(土)、27日(日)の二日にかけて投票が行われ、在日ビルマ人にすでにその旨通知がなされている。

とはいっても、通知は難民や難民申請者には届いていない。ビルマ大使館が投票を認めるのは、有効なパスポートをもつ人、つまり帰国の意思があるとみなされる人々だけだという。

これに対して、在日ビルマ国籍者の活動家や難民は「自分たちの投票権を認めよ」と、投票日に大規模な抗議活動を行う予定だ。

ビルマ市民フォーラムのメーリングリストに流れた声明を引用しよう。

「在日ビルマ人民主化活動家  投票権を求め、在日ビルマ大使館に要請書を提出 (東京) 」

4月22日(火)、在日ビルマ人共同行動実行委員会(JAC、在日ビルマ人の 民主化運動団体31団体の連合体)は在日ビルマ大使館へ憲法草案の賛否 を問う国民投票の在外投票に関する説明ならびに投票権付与を求め、 要請書を提出しました。民主化運動に関わらない一般の在日ビルマ人には 在外投票の案内が手紙で郵送されています。

JACは大使館へ直接要請書を提出したいと希望していましたが、インターホン を何度ならしても全く反応はなく、要請書は大使館の郵便受ポストへ入れました。

大使館の対応を受けて、JACは4月26日(土)および27日(日) 朝8時30分〜午後6時まで、在日ビルマ大使館前で投票権に関する 大使館側の説明を求め抗議行動を行うことを決定しました。

日本のみなさまも、ぜひこの大使館/ビルマ軍事政権の姿に注目して いただきますようお願いいたします。(以上引用)

一方、通知をもらった人々、つまり「投票権を持つ」人々はどうかといえば、まったく困り果てているのだそうだ。

難民申請をしない、あるいは政治活動をしないと言っても、必ずしも軍事政権に賛成しているわけではない。生活上の必要があって、パスポートの更新をしなくてはならない人もいるし、日本人と結婚したものの帰化が認められないから仕方なくビルマのパスポートをもっている人もいる。国に残した家族・親族のことを心配して表立って声を上げないだけだ。

だから、もちろん軍事政権の憲法など拒否したい。いや、投票なんて行きたくない。では棄権するか、と、送られてきた通知を見る。4桁の番号が書いてある。しかも、投票にさいしてはパスポートとこの通知をもってくるべし、などと記されている。ということは、誰が棄権したかばっちりわかる仕組みなのだ。となると、棄権したら、政府に睨まれ、今後のパスポートの更新に支障が生ずるかもしれない。

では行くだけ行って、思い切って反対の票を投じたらどうか。いや、それこそ一番やってはイケないことだ。きっと、国に残した家族が虐待される。投票の秘密を守るなんて立派なことができる政府なら誰もこんな苦労はしない。

とどのつまりは、賛成という選択肢しかない。軍事政権が永久に続くように賛成の票を泣く泣く投ずるほかないのだ。だが、それだけは絶対にしたくない。

と、こんな風に心ある「有権者」たちはいま絶体絶命のジレンマに追い込まれているというのだ。ある人はなんとか「入院中」ということで切り抜けられないかと、思案したほどだ。

もちろん大使館前でデモを準備している活動家たちも同じ国の人々が困っているのは熟知している。そこで、こんな名案が生まれた。

つまり、投票日には投票権を求める活動家たちが大使館の入り口に並び「自分たちを中に入れない限り、誰も入れない」と頑張るのだという。したがって、投票権を持つ人々は後ろの方に並ばざるをえないから、自分たちが入れるか入れないかは、大使館が活動家と難民たちの投票を受け入れるか如何にかかっていることになる。

デモ参加者たちが投票できるならば、後からついていって投票すればよい。デモ参加者たちが閉め出されるならば、入ることはできない。入ることができないのだから、投票はできない。いくらしたくても、いくらしたくなくてもそれは関係ない。すべては大使館側の決断に委ねられた。かくして投票権を持つ人々は窮地を脱することになる。

軍事政権の支配のやり口のひとつが分断である。今回は通知を送るか送らないかで、在日ビルマ人社会を分断しようとした。これに対して、在日ビルマ民主化活動家たちは、投票権を持つ人々の現状をも考慮にいれ、分断された状況を逆手に取って、ひとつの連帯を生み出す運動へと見事に転化してみせた。これは、明日、実際にこれがうまくいくかも含めて、面白いことだ。

2008/04/13

Arakan Forward

リンクにArakan Forwardを追加。フラエーマウン(Hla Aye Maung)さんはアラカン民族の活動家。

KNO-Japan


カチン民族機構(日本)(KNO-Japan)のミーティングに参加。ベン・ロジャーズさん来日の件について話し合いが行われました。

今回のプロジェクトには、招聘費用等かなりのお金がかかりますが、100人以上いるメンバーでなんとかカバーできそうとのこと。

「みんなが一生懸命皿洗いして作ったお金を無駄にしないように頑張ろう」と、事務局長のアジのある言葉。

2008/04/11

ビルマの宗教の自由のための特別礼拝

Prayer For Religious Freedom of Burma
「ビルマの宗教の自由のための特別礼拝」のご案内

ビルマ軍事政権によるキリスト教徒迫害に関する初の全体的報告書『十字架を担いて(仮題)』の日本語版出版と、著者のベネディクト・ロジャーズさんの来日を記念して、以下の要領で特別礼拝を行います。ビルマの宗教の自由、人権問題、ビルマ民主化に関心のある方、アジアのキリスト教に興味のある方はぜひご参加ください。

ベネディクト・ロジャーズ
人権問題に取り組む国際的な非政府組織(NGO)クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイド(CSW)の政策提言オフィサー(南アジア担当)。英国保守党人権委員会の副議長も務める。ビルマ(ミャンマー)を中心に、パキスタン、スリランカなどを頻繁に訪れ、人権状況についての実態調査を行う。なかでも内戦状
態にあるビルマの民族地域への訪問回数は数十回におよび、特に難民・国内避難民が数十万人も出ている東部地域の惨状に詳しい。

目的:
ビルマ軍事政権による宗教迫害、民族迫害により多くの非ビルマ民族(カチン人、チン人、カレン人など)が日本に逃れ、難民として暮らしています。低賃金労働者として日本の経済を支え、日本社会による差別に傷つきながら、それぞれの民族が独自のコミュニティと宗教活動を育んできました。チン人難民である牧
師のメッセージを通じて、今回の礼拝がビルマの宗教迫害、日本で難民の直面する問題、そしてアジアの中のキリスト教について理解を深める機会になればと思います。

当日は在日ビルマ難民、キリスト教徒の方々も参加します。宗教迫害やビルマの現状について生の声を聞ける好機です。

内容:
難民として日本に逃れてきたビルマ国籍チン民族牧師(ペンウクタンさん)による礼拝とベネディクト・ロジャーズさんからのメッセージ。

日時:2008年4月29日(祝)正午より2時30分まで

場所:
新宿区立新宿消費生活センター4階会議室
新宿区高田馬場4−10−2 電話(03)3365−6100
JR山手線高田馬場駅下車
(地図http://www.city.shinjuku.tokyo.jp/map/recycle_center.htm

参加費:無料

参加者:宗教・宗派を問いません。無宗教の方ももちろんご参加ください。

主催:カチン民族機構(日本)KNO-Japan、ビルマ国境ニュース

連絡先: 090-4076-6579(KNO-Japan)

報告会のお知らせ


ビルマ(ミャンマー)東部で何が起きているのか?
〜紛争・開発・難民  日英若手専門家の報告
========================================

日時:2008年4月27日(日) 午後6時〜8時半 

場所:豊島区民センター(コア・いけぶくろ)6階文化ホール
http://www.toshima-mirai.jp/center/a_kumin/
豊島区東池袋1-20-10
電話 03-3984-7601
JR山手線池袋東口下車徒歩約5分

■講師:
ベン・ロジャーズ
(クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイド政策提言担当オフィサー、英国保守党人権委員会副議長)

秋元由紀
(米国弁護士、ビルマ情報ネットワーク/特定非営利活動法人メコン・ウォッチ)

■参加する場合は

*事前申込みは不要
*参加費: 500円

■主催・問い合わせ: カチン民族機構(日本)
090 4076 6579 (日本語可)

■協力(4月2日現在):
在日ビルマ連邦少数民族協議会(AUN)、ビルマ市民フォーラム、
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本、
特定非営利活動法人メコン・ウォッチ

ビルマ(ミャンマー)で昨年8〜9月にあった大規模なデモ行進、そして軍事政権による弾圧から半年がたちました。

アウンサンスーチー氏率いる民主化勢力と軍政との対立構図の影に隠れがちなのが、ビルマの民族問題です。ビルマは多民族国家で、人口の3割以上が非ビルマ民族(カレン、カチン、シャン、カレンニー、
チン、モン、アラカンなど)です。

ビルマ軍政は国家予算の約半分を軍事費に充てており、国軍の規模は東南アジア最大級へと膨れあがっています。そしてその軍事力は、自国内にのみ、とりわけ民族居住地域と民族住民に集中的に向けられているのです。国軍の侵攻により、ビルマ東部だけで3000以上の村が破壊され、強制労働、強制移住などにより150万人以上の生活が奪われています。

こうした民族に対する迫害政策の資金源は天然ガスなどの資源です。ビルマでの資源開発に、日本の私たちも無縁ではありません。

「ビルマ(ミャンマー)東部で何が起きているのか? 〜紛争・開発・難民 日英若手専門家の報告」では、ビルマ東部地域の惨状に詳しいベン・ロジャーズ氏を招き、難民・国内避難民が数十万人も出ている背景について話していただきます。また、民族居住地域に集中する天然資源と環境破壊や人権侵害の密接な関係について、専門家の秋元由紀氏から聞きます。


■講師プロフィール

ベン・ロジャーズ氏
人権問題に取り組む国際的な非政府組織(NGO)クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイド(CSW)の政策提言オフィサー(南アジア担当)。英国保守党人権委員会の副議長も務める。ビルマ(ミャンマー)を中心に、パキスタン、スリランカなどを頻繁に訪れ、人権状況についての実態調査を行う。なかでも内戦状態にあるビルマの民族地域への訪問回数は数十回におよび、特に難民・国内避難民が数十万人も出ている東部地域の惨状に詳しい。

若手専門家として英米の議会関係者や国連に豊富な人脈を持ち、英国議会議員や英国外務省、EU、国連人権理事会、米国議会議員などに現地調査を元にした最新情報の提供を行っている。また新聞や雑誌への寄稿や、テレビやラジオにも定期的に出演するかたわら、ホワイトハウス、イギリス保守党大会、ヘリテージ財団などで講演するなど幅広く活動する。今回、在日ビルマ人の民族団体の招きで初来日する。

秋元由紀氏
米国弁護士、ビルマ情報ネットワークのディレクター(共同)。米ニューヨーク州の弁護士資格を取得後、海外での営業活動を通じて起きた人権侵害について企業の責任を問うユノカル(現シェブロン)訴訟などの原告弁護団に参加。現在はビルマに関する情報を日本語で作成、配信するビルマ情報ネットワークで「きょうのビルマのニュース」「今週のビルマのニュース」などを担当。また特定非営利法人メコン・ウォッチでビルマでの開発事業のモニタリングや政策提言も行う。

2008/04/10

タイトル写真

2004年6月4日、タイ・ビルマ国境の農村地帯をカレン人難民の若者と一緒に旅したときの写真。

ビルマから来たたくさんの移住労働者たちが、タイの農村で小作人として働いています。