2014/12/25

マナウの種類(2)

1)ジュー・マナウ(Ju Manau)
カチン民族の偉人や民族のために貢献した人、長老の死のさいに行われるマナウ。マナウでは太鼓が重要な役割を果たすが、その太鼓を打ち鳴らして、例えば「わたしたちの村の長が亡くなりました」と近隣の村々に伝えるのである。Traditions(p32)には、重い病からの平癒や、女性の懐妊のためにも開催されるとある。


オラ・ハンソンのカチン語辞書(Ora Hanson、Kachin Dictionary、1906。以後、カチン語辞書と略す)によれば、Juはマナウとほぼ同じ意味のようだ。また、ジュー・マナウは、イラワディ川(マリ川)東側の首長たちによって主に執り行われるとある。

2)スッ・マナウ(Sut Manau)
「スッ・マナウは特別な財産を得た時、翡翠、金銀などの新たな鉱山を見つけた時、収穫が豊かな時などに執り行われる喜びのマナウです。キリスト教徒になってからは全能の神に対して感謝を捧げるものとなりました。現代でも巨大な財産を得たときなどに個人で行うこともあります。2011年にカチン州の首相になったLajawan Ngan Sengの父であるLajawn Tu Hkawngは、巨額の財産の持ち主で、このマナウを個人で開催しました。これはわたしが実際に見たスッ・マナウです。(マナウ・リーダー)」。

どれくらいの財産を得た時に行うのか、という問いに対して、マナウ・リーダーは「ちょっとした利益ではやりません。並の金持ちにできることではないのです。参加したすべての人々に何日もご馳走するから、ウシとブタが何十匹も必要です。招待客の宿泊場所、交通費全部負担するので、かなりの資産が必要です」と答えた。

なお、スッ(Sut)というのは、カチン語で「富」を意味するが、リーチによればこのスッに含まれるのは、食物、ウシなどの家畜、儀礼的交換に用いられる品の3種に分類される動産であり、土地などの不動産は含まれないという(p158)。

マナウの銅鑼