2014/12/17

ついてない

ホームステイ先の主人とピーターさんが話している間に、大音量の音楽が聞こえてきた。

家の隣に保育所があり、その前庭で、カチンの若者たちがマナウで披露するダンスの練習を始めたのだ。

カチンの踊りには、ビルマ民族にもあるようなソロ・ダンス、あるいは二人だけのダンスは存在しない。常に少なくとも10人ぐらいの踊り手が同時に踊る形式だ。

練習しているのはほとんど10代後半から20代前半の若者で、女の子の方が多いが、男の子もいないわけでもない。

みんな、このマナウのためにいろいろな地域からやってきてこの村で練習をしている若者たちだ。戦争難民のキャンプから来た人もいるという。

この踊りは、マナウではなく、マナウの余興で行われるステージショーで披露されるもので、ダンスについてはよく分からないが、フォーメーションがよく変わるので、結構見ごたえがある。わたしはビデオで撮影していたがなかなか難しかった。

しばらく見物した後、家に戻る。二人はまだ話していたがもう午後9時を回ったので寝ることになった。家の主がいなくなるとピーターさんはわたしに言った。

「ここの家は特に厳格なキリスト教宗派の信徒で、お酒は飲まないのだ。お茶も、それどころか漬物もダメだという。だから、わたしたちが村で飲もうと思って持ってきたウィスキーはスーツケースから出さないように」

承知したとわたしが答えると、彼はつぶやくように言った。

「We are unlucky(ついてないな)」