2009/05/03

ザイタンクンアさんの死

在日チン民族の難民、ザイタンクンアさんは4月23日、ヤンゴンに残した妻に電話をして、今日が俺の最後の日だ、俺はもうすぐ死ぬ、と告げた。「4歳になる息子のことを考えて」と妻が必死に懇願すると、彼は、もうしない、と言った。

だが、その翌日、彼は再び考えを変え、幾人かの友人に死の決意を伝えると、市川の自宅から姿を消した。そして、知人たちの懸命の捜索もむなしく、4月26日の朝、市川市内の線路で遺体となって発見された。

彼はふさぎ込みがちだったという人もいれば、近頃、体調を崩していたという人もいる。また失業したばかりで、将来について思い悩んでいたともいうし、妻と息子を日本に呼び寄せることができないのを悲しんでいたともいう。いずれにせよ、ザイタンクンアさんがどうして死を選んだのかは、今となっては誰にもわからない。

ただひとつわかっているのは、彼の自殺をくい止める手だてはいくらでもあったということだ。専門的なカウンセリングがあれば彼の精神的な問題も解決されたかもしれない。あるいは、そばに家族が、いやそうでなくても常にそばにいてくれる人がいれば、彼が人知れず家を飛び出すのを阻止できたかもしれない。将来に希望がもてる状況にいれば、そもそも死のうだなんて思わなかったかもしれない。

ザイタンクンアさんは2008年に日本政府より在留特別許可を得て、少なくとも命の安全は保障された状態にあった。だが、彼の死が物語るのは、それだけがすべてではないということだ。

難民がこの日本で人間らしく生きるためには何が必要なのか。わたしたち、つまり日本人とビルマ国籍の難民たちは、すでに遅きに失したこの問いかけにともに真剣に取り組むべき時にきている。

《以下は在日チン民族協会からの葬儀案内》

在日ビルマ国籍者難民を支援くださっている皆様へ

故ザイタンクンア葬儀のご案内

わたしたち在日チン民族協会(CNC-Japan)の会員であるザイタンクンア(ZAITHANKUNGA)が、2009年4月26日未明、永眠いたしました。よって故人の葬儀を下記の通り執りおこないます。

2009年5月3日(日曜日)
午後1時30分より2時30分まで
場所:市川市斎場 市川市大野町4-2610-1、047-338-2941
JR武蔵野線市川大野駅よりタクシーで10分

在日チン民族協会会長
タン・ナンリヤンタン

在日チン民族協会
住所:135-0007 東京都江東区新大橋1-11-13 米沢ビル4階
eメール:cnc_jp@yahoo.com ウェブサイト:www.cncjp.org