2015/12/05

もうひとつの選挙(4)

報告が終わると、討論会という形で会員たちが発言する機会が設けられていた。

まずは新メンバーが次々に自己紹介を始める。研修生として来日したものの結局東京に出てきたという若者がまず前に出る。どのように日本と出会い、日本にやってきたか? 一度はあきらめかけた夢……だが思いもよらぬチャンス! などと新人のくせにやたらと長い話をして、司会の気をもませてた。

4人の新メンバー紹介の後、古参のメンバーが立ち上がり、「原点に帰って活動しよう」と呼びかける。

そしてこれに応じて「今は会は活発ではないが、みんなできるだけ参加してほしい!」とぶち上げたのが、ほとんど顔を見たことないメンバー。わたしはてっきり新入りかと思ったほどで、ハウカンチャンさんが「自分もね!」と付け加える。彼女は役員たちの心の声を通訳したのだ。

とはいえ、チンの男性にしばしば見られるこういう呑気さはキライではない。

最後にもう一人、別の男性メンバーが訴えた。

「CNC-Japanが続いているのがうれしい。このグループがあったからこそ、今のわれわれがある。これからもよろしくお願いしたい」

役員たちに漂うピリピリした雰囲気、通訳の緊張感、会員たち支持表明の裏に見え隠れするある意図……さすがに鈍いわたしも事態を理解した。

ニンザルンさんたち役員は、CNC-Japanを解散しようという決意を持ってこの総会に臨んでいたのであり、会員たちはそのもっともな決意になんとか抗おうとしていたのだった。

「変わる時」が来たのだ。