2015/12/19

獄中読書計画(1)

読書が人格者を育てるとか、成績を上げるとかは迷信の一種で、いくら本を読んでもダメなやつはダメでくだらんやつはくだらん。

しかし、それでも読書は重要だ。なぜなら、もっとも安価で、しかももっとも手間のかからない娯楽だから。病魔も投獄もその楽しみを奪うには相当頑張らねばならない。

そんな理由から在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)でビルマの政治囚に本を送り、空いた時間を有効活用してもらう活動「バマゾン・プロジェクト」を行っているのだが、それだけでなく、そもそもわたしは獄中の読書というものにものすごく憧れているのだ。

ときどきわたしは自分が刑務所に入ったらどんな本を読もうかと考える。わたしが現在抱いている計画は次のようなものだ。

【早朝の読書】
起床と点呼の後の朝食までの間の爽やかな時間は詩の研究。エズラ・パウンドのCANTOSを1日1ページ読むこと。

【午前の読書】
朝食と昼食の間の活力にあふれた時間は、アラビア文学古典の原典の解読に当てたい。まったく刑務所でなくては読む時間もないものばかりだ。

【午後の読書】
昼食後は文学の精読に打ち込む予定。まずはアメリカ文学。メルヴィル、ホーソーン、ヘンリー・ジェイムズの全作品をじっくり読みたい。時間が足りなくて、求刑より短い判決を下した裁判官への恨みごとが飛び出す始末。

【夕方の読書】
この時間はかねてから取り組みたいと思っていた明の李卓吾の主著『蔵書』『焚書』の探求に捧げたい。長くつらい幽閉生活だ、この思想家のごとく獄中自殺をしたくなるときもあるかもしれない。だが、『続蔵書』と『続焚書』を読みたい気持ちがそんな迷いをかき消してくれる。

パテイン刑務所の外壁