2015/12/19

獄中読書計画(2)

【夜の読書】
静粛なる夜の時間ほど、宗教的瞑想に適しているものはない。この清らかな時間は、仏典(サンスクリットとパーリ原典)と聖書(ヘブライ語とギリシア語)を味わいつつ読みたい。これらの古典語の習得に際しては、教誨のために刑務所にやってくる坊主や牧師を上手に活用したいものだ。

また、宗教的徳をたっぷり身につけたおかげで、周りの受刑者や果ては看守にまでその感化が及び、みなに崇拝されたなどという逸話も残しておきたい。

……刑務所所長はこれを見て嫉ましく思い、わたしを独房に放り込むだろう。彼は食事も与えない。わたしを餓死させようという腹なのだ。そして14日後、所長は「もう頃合いじゃろうて」と独房の重い鍵を開く。だが、そこにいるのはなんと、ピンピンしているわたしではないか。実は小鳥たちがわたしのために朝な夕なに食事を運んできてくれていたのだ。何たる徳の高さであろうか。無力を悟りくずおれる所長。彼はすっかり改心し涙ながらに許しを請うだろう。だが、わたしはそれに構わずこう告げるのだ。「な、なにか、読むものを……」

【就寝前の読書】
アメリカの優れたSF小説によって占められたこの時間は、監獄を不思議と驚異にあふれた夢幻の空間へと変え、1日の読書に疲れたわたしを安らかな眠りへと誘うのであった。

* * *

なんと充実した毎日であろうか。もう一刻も早く刑務所に入りたいぐらいだ。わたしは人を苦しめたり、その命を損ないたくないから、ぜひとも政治囚として入りたい。本をどっさり持って刑務所に駆け込みたい。

だが、そのためには、この日本がもっともっと不自由になり、不寛容と不合理がはびこり、恐れと不信に満ちあふれ、人間の尊厳がないがしろにされなければならない。政府が人間をもっともっと苦しめる国にならなくてはならない。

政治囚の発生率が出生率を上回る……そんな素晴らしい社会が早く来るように一生懸命、安倍首相と自民党を応援していきたい。

パテインの刑務所