2014/11/30

KAI兵士の話

11月28日の夜、BRSA事務局で、カチン独立軍(KIA)の元兵士の若者の話を聞く集会を開催した。

その人は別の用事で来日していたのだが、わたしは彼がかつてKIAで働いていたことを聞いていた。それで11月19日の砲撃事件のこともあったので、急きょ彼の経験について話を聞く企画を立てたというわけだ。

「元兵士」としたが、正式には除隊はしていないので、自分としてはまだ兵士なのだという。入隊時にKIAの旗の下で為した誓いは終生続くのだ。とはいえ、彼はもうKIAの内部の人間ではない。

いずれにせよ、ビルマに住んでいる彼の安全上の理由から、詳しいことは書くことはできない。しかし、現在30代前半の彼が、10年ほど前にどのようにKIAに入隊することになったかの経緯は非常に興味深かった。

カチン民族の立場からすれば、それは民族の戦いに加わる価値ある過程であるが、別の視点から見れば、それは若者が戦争に巻き込まれていく悲しい過程でもある。もっとも、彼が在籍した時期のKIAは停戦中であったために、彼自身には実戦の経験はない。とはいえ、彼の同期生のうちには、現在も戦っている者もおり、また戦死した者もいるという。

わたしにとってもう一つの興味深かったのは、彼が、KIA副参謀長のスムルッ・グンモウの側近の一人であったときの話だ。現在のカチン民族にとって英雄視されているといってもいいこの若きリーダーの素顔についても聞くことができた。

11月19日のビルマ軍からの砲撃については、彼の見方によれば、ビルマ政府が主張するように軍が誤って砲撃するなどということはありえず、これは紛れもなくビルマ側からのKIAへの挑発行為だという。相手からの発砲は、ビルマ軍にとっては戦争を続ける格好の理由になるということだろう。

参加者は少なかったが、それぞれに収穫があったようで、非常に良い企画となったと思う。

グンモウさん
(2012年7月ライザのKIA司令部にて)