2009/04/01

チン民族の布、だっこ用スリング

チン民族の伝統的なデザインの布をもらう。幅広の帯状の布で、いろいろ使い道はあるだろうが、子どもの「おぶいヒモ」、今でいうスリングとしても使われる。

結び方もスリングと同じ。片方の端を右か左の肩の上、もう片方の端を反対側の脇の下から通し、胸で結ぶ。背中に渡された布がちょうど袋状になり、そこに子どもがすっぽりと入る。もっとも日本で売っているスリングは普通おんぶに用いない。


もちろん、普通のスリングのように用いることもできる。つまり、子どもを包む部分を前にずらして、胸に子どもを抱いて運ぶ。これは授乳にも便利な姿勢だ。

この布をくれたチン人女性は、現在4歳の子どもを育てているが、彼女が使っている布は、自分が赤ん坊の時にくるまっていたものだとのこと。つまり親子二代で使っているわけだ。

さて、この女性のお母さんが、たまたま来日しており、チン民族の子どもの抱き方についてこんなことを話してくれた。

夜道を歩く時に子どもを決しておぶってはいけない。親の目の届かないところにいる子どもを、超自然的な存在が狙っているから。だから、暗い道では子どもは前抱きにしなくてはならない。

この超自然的な存在は、かわいい子どもにちょっかいを出し、激しい夜泣きや病を引き起こす。こうした存在が寄り付かないよう、おまじないとして鍋の底のスミを子どもの額になすり付ける。

また、ビルマ民族は霊験あらたかな紐を子どものこしに巻き付ける。チン民族は紐の代わりに、雄鶏の羽が1〜2枚はいった小さな袋を紐につけて、子どもの首にかける。なお、羽根を袋に入れる際には、「この子が誰にも奪われないように!」といった呪文も唱えるのも忘れずに。