2009/04/04

ドーイトイ

チン民族の伝統的な儀式にドーイトイなるものがある。このドーイは精霊を指し、ビルマ語のナッに似ているとのこと。

ドーイトイの儀式が行われるのは4月頃。この儀式を行う家は、家の入り口に門松のような飾りを飾る。

逆に言えば、この飾りが、その家がドーイトイを行っている印となる。

この印はきわめて重要だ。というのも、ドーイトイとは家に幸運を招く儀式なのだが、もしその最中に家人にあらざる者がやってきたら、せっかく訪れかけていた幸運が逃げてしまうと信じられているのだ。

これはその家の者にとっても残念なことだが、ドーイトイの印に気がつかず訪ねてきてしまった客にとっても災難である。なぜなら、そのうかつな者は、幸運の逃亡の責を負い、儀式の費用をすべて弁償しなくてはならないからだ。

そればかりではない。その客はかえって不幸を背負い込む可能性すらある、といわれている。

だから、チン州ではこの飾りに十分気をつけたほうがよいだろう。とはいえ、幸か不幸かビルマを訪れる観光客にはその可能性はほとんどない。なぜなら、特別な許可のない外国人がチン州に足を踏み入れることはきわめて難しいことなのである。