2008/05/06

東京新聞

ミャンマー新憲法案賛否 軍政、ひそかに在外投票

2008年4月25日 朝刊

 【バンコク=大場司】ミャンマー軍事政権が、新憲法案への賛否を問う五月十日の国民投票に先立ち、国外で暮らすミャンマー人を対象に在外投票を始 めた。軍政は国連が打診した国際監視団の受け入れを拒否、在外投票の実施も公にしていない。その一方で、軍政は国民に新憲法案への承認を迫る組織的な運動 を推進しており、国民投票が公正に行われるかが強く疑問視される。

 本紙の調べでは、在外投票は各国のミャンマー大使館で期間を設けて実施。ミャンマー人が多く暮らすタイでは今月二十二日から六日間の日程で投票が始まった。約七万人のミャンマー人に投票資格があるという。

 シンガポールでは二十五日から五日間、ラオスでは二十六日から二日間、ベトナムでは二十七日から二日間、投票を行う予定。在外投票の実施は大使館からの電話や口伝えで通知されており、投票には旅券や労働許可証などが要るという。

 軍政はひそかに在外投票を始める一方、国内では国営紙に新憲法案の承認を求める標語や論評を連日掲載。軍政が設立した大衆運動組織「連邦団結発展協会」の会員もフル稼働させ、国民に新憲法承認を迫っている。

 これに対し、自宅軟禁中の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさん率いる最大野党「国民民主連盟」は、胸の部分に「NO」と書いたTシャツを着るなどして反対運動を展開。だが、軍政は理由も告げずに党員らを拘束しており、反対運動を事実上弾圧している。

 軍政は「自由、公正な国民投票の実施」を国連や東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟各国に約束しながら、国際監視団の受け入れ拒否だけでなく、外国メディアによる国民投票の取材も一切認めない方針だ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008042502006390.html