2008/05/16

ある女性の証言(2)

大使館前にできた列に並んでいると、スーツ姿の男性が大使館から出てきました。大使かもしれませんがわかりません。

もしかしたら、わたしたちの投票を認めるのではないかと思って、誰もが固唾をのんで見守っていましたが、そうはなりませんでした。

また、別のとき、大使館より女性職員が3人出てきて、わたしたちにこう告げました。「大使館に税金を収めていない人には投票権は認めない」

税金というのは、在外ビルマ人がパスポート更新のために大使館に支払わなければならないお金のことです(収入の一割を支払わなければならないといわれている)。世界中どこを探してもこんなバカげた税金はありませんし、結局軍人のポケットマネーになるお金なので、わたしたちは払っていません。ビルマ大使館が「税務署」とビルマ人に呼ばれている理由がわかるかと思います。

活動家たちは女性職員に詰め寄りました。

「わたしたちはそんな税金は払いたくない。軍事政権を利するだけだからだ。でもわたしたちはれっきとしたビルマ国民だ。わたしたちに投票権を与えるべきだ!」

3人の女性職員はよってたかって責められるので、2人がとうとう泣き出してしまいました。この3人の職員は日本人とビルマ人だったと思います。

すると、日本の警官たちが、彼女たちを守ろうとして活動家たちの間に割って入りました。

大使館の中を見ると、明らかにビルマ軍人とわかる男たちが、鋭い目つきでこの様子を注視していました。

わたしは思うのですが、このように女性だけを3人、活動家たちの中に放り出したのは、軍事政権の汚い策略なのです。このようにして危険に見える状況を作り上げることで、日本の警察に介入させるきっかけを与えたのでしょう。

わたしは大使館の塀の中からこっちを睨みつけている軍人たちに向かって叫びました。

「どうして弱い女の人を外に出すの! 男のあんたたちが出てこないのは汚いよ! 責任者が出てこい!」

軍人たちは知らん顔をしていました。