2012/09/07

身元保証マニアのための素材集(3)

身元保証人の役割と責任については、入国管理局の「外国人の在留手続きQ&A」に公式見解がある。引用しよう。

Q7:提出書類に身元保証書がありますが,「身元保証人」とはどのようなものでしょうか。また,身元保証した際の責任はどうなっているのでしょうか。 

A:入管法における身元保証人とは,外国人が我が国において安定的に,かつ,継続的に所期の入国目的を達成できるように,必要に応じて当該外国人の経済的保証及び法令の遵守等の生活指導を行う旨を法務大臣に約束する人をいいます。身元保証書の性格について,法務大臣に約束する保証事項について身元保証人に対する法的な強制力はなく,保証事項を履行しない場合でも当局からの約束の履行を指導するにとどまりますが,その場合,身元保証人として十分な責任が果たされないとして,それ以降の入国・在留申請において身元保証人としての適格性を欠くとされるなど社会的信用を失うことから,いわば道義的責任を課すものであるといえます。

要するに、身元保証人を引き受けることによって、何か刑罰の対象となったり、罰金を払わされたりすることはないということだ。そして、「社会的信用を失う」といっても、「この人物は社会的信用がない」とおおっぴらに張り紙されるわけでもない。ただ、次に入管で身元保証人として申請しても、その申請が認められる可能性がおおいに低まるだけだろう。

そもそも道義的責任というのもよくわからない。人によって何を道義とするかは異なるものだ。入管には入管の道義があり、わたしにはわたしの道義がある。もちろん、仮放免申請の場合は入管のほうが強い立場なので、身元保証人としてのわたしの道義はそれほどやかましく主張されない。その意味ではこの道義的責任とは入管側から身元保証人に一方的に「課すもの」だ。しかし、道義についていうのならば、入管自体が国民により道義的責任を課されているわけで、入管が身元保証人に課す道義と日本社会が入管に課す道義が一致しているとは限らない。この点に関しては後で論じる機会もあろう。