2009/09/14

カレン民族殉難者の日演説(3)

象使いはもうどうやっても象を動かすことができなくなり、先に渡りきった象の象使いに向かって声をかけました。象は、どうやら増水した川を渡るを怖がっているようでした。そこで、すでに渡り終えた象を呼び戻して、立ち止まっているほうの象のお尻を押させてなんとか渡りきったのでした。

象使いは「こんなことは生まれてはじめてだ。不吉なことだ」と語ったそうです。

さて、象たちはそのまま進んでいきます。もう午後3時か4時ごろです。雨も降っていますし、暗くなってきました。すると、この土地に生息し、飛ぶことのできない鳥が、地面をうろうろと走り回っています。

これを見て象使いが「もういやだ。これは何かよくないことが起きるぞ。俺はもう帰る」と言い出しました。

この旅についてはすでに多くの人がその前から心配していました。なかには兵士を随行させたほうがいい、といった人もいました。しかし、ソウ・バウジーは聞き入れず、ほかの若者に迷惑をかけたくないと断って出発してしまったのでした。

さて、その村に到着しました。そして、その翌日の朝早く出発する予定だったのですが、雨が激しかったため、その日は出発しませんでした。ですから、村には二晩泊まったことになります。

予定通りに10日は村に泊まり、そして11日に出発していれば、そのときビルマ軍の部隊はまだかなり遠くにいたので、襲撃を受けることはなかったでしょう。しかし天候の関係で、つまり雨がふり、水が出ている状況でもう一日泊まって、出発が12日になったがために、ビルマ軍の攻撃を受けることになってしまったのでした。ソウ・バウジーたちは抵抗し、反撃をしたのですが、結局、殺されてしまいました。(続く)