2009/09/13

カレン民族殉難者の日演説(2)

1950年8月に起きた出来事をお話ししたいと思います。

8月というのは世界でもいろいろなことが起きた月です。8月6日に何が起こったか、8月9日に何が起こったか、これは日本にいる人ならば誰もが知っていることです。また、その間にある8月8日に何が起こったかは、ビルマの人ならばみんな知っていることです。そして8月12日は、カレン民族ならばみんなが知っている日なのです。

まず1950年8月10日の出来事からまずお話しましょう。ソウ・バウジーはこれから重要な用事があるから旅に出る、と言って、ソウ・サンケーら数名の仲間とともに出発しました。出発地はパプンという町でした。

周りの人はソウ・バウジーに旅行を思いとどまらせようとしました。天気も悪いし、雨も降っています、山道をゆくのは大変ですといって、旅を止めさせようとしたのでした。

この旅の行く先と目的について知っている人は2人しかいませんでした。本人とソウ・サンケーだけです。彼らに同行した人にわたしは直接尋ねてみたことがあります。彼らは自分たちがどこに何しに行くのかについてまったく知らなかった、ということでした。

象2頭を連れた旅でした。象の上に2〜3人が乗って旅をしたのでした。目的地はトッコックーという村でした。このトッコックーというのは鳥の名前です。この村はカレン人にとって非常に重要な村なのですが、現在はビルマ軍事政権に寝返ったカレン人たちがこの村を支配しています。

さて、パプンからこの村に行くには川をいくつも渡っていかなければなりませんでした。雨期なので雨が降り、川も増水しているという状況でした。この象2頭のうち、2番目に歩いていた象の象使いからわたしは直接話を聞いたことがあります。それによると、1頭目の象は、ソウ・サンケーが乗っていたのですが、この象はパプンからトッコックー村に行くのに渡らなければいけない川を無事に渡り終えました。しかし、2頭目の象、ソウ・バウジーが乗っていた象がこの川を越えたがらず、歩みを止めてしまったのでした。(続く)