2012/05/24

デヴィッド・ターカボウさんを囲む会(2)

デヴィッドさんにはじめてインタビューしたのは、去年の5月にタイ・ビルマ国境で開催されたカレン・ユニティ・セミナーというカレン人の民族会議のような集会でのことだった。そのときわたしは、海外カレン機構(日本)OKO-Japanという日本のカレン人の政治団体から派遣されていて、彼からビデオ・メッセージをもらうというのがその使命のひとつであった。

セミナーの休み時間に自分の宿舎に戻ったデヴィッドさんをわたしは訪ね、少し英語でインタビューした後、「8月にカレン殉難者の日式典を日本でも開催するので、そのときのために在日カレン人や他のビルマ国民に向けた話をしてほしい」と頼むと、ビルマ語でだいたい次のような話をしてくれた(わたしはビルマ語がわからないので内容はあとで聞いた)。

「カレン人、カチン人、シャン人などの持つ軍の力を合わせれば、ビルマ軍よりも多い。わたしたちは力で勝るのだから、最終的にビルマ軍事政権は折れて出てくるであろう。ビルマ民族の中にも良い人はいるはずだから、そうした人と協力する必要がある」

日本に帰ってきてそのビデオをある非ビルマ民族の政治活動家に見せたら、「ビルマ民族の中にも良い人はいる」 というところで「すごい」と笑っていた。

その理由を聞いてみると、この言い方は「ビルマ民族というのは悪い連中だが、良い人もいる」というニュアンスらしく、基本的にはビルマ民族に対する不信の表明のように受け取れるもののようだ。

ビルマ民族にとっては意外であろうし、また納得できないだろうが、カレン人に限らず、ほとんどすべての非ビルマ民族が同じような考え・気持ちを持っている(もっとも、それを表に出すことは滅多にないが)。そうした気持ちをデヴィッドさんがはっきりと代弁してくれたのがその活動家には痛快だったようだ。