2009/07/21

謝罪(1)

以前、日本の非ビルマ民族政治団体の間で、ごたごたが起きた。当事者のひとりである非ビルマ民族の政治指導者とその問題について話をしたとき、ぼくがこんなことを言ったら彼は一瞬目を丸くした。

「あなたが謝ればいいんじゃない。そうすれば向こうの気も済むし、何しろ謝るのはタダだ」

ぼくは現在、在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)で副会長をしているが、この会である問題が生じたとき、会議の場で会長の大瀧さんがこんなことを言った。

「とりあえず、会長としてわたしが相手の会員に謝罪しましょう。それでいいでしょう」

するとビルマ人の役員たちはこんなふうにいって反対した。

「会長は絶対に謝ってはいけないのです。それでは会がまとまらなくなります」

ぼくは大瀧さんに加勢して「日本では会長とか社長というものは謝るのが仕事のようなもので、それで丸く収まるならいいんじゃないか」といったが、彼らは「それはビルマ人のやり方ではない」と頑として聞かないのだった。

今日、麻生首相が両院議員懇談会で謝罪した。それは自民党の議員に向けた謝罪だったが、テレビでは首相の謝罪する様子が何度も映し出された。一国の行政の最高責任者が頭を下げる、これはビルマの人々にとっては奇怪千万な出来事にちがいない。

もちろん、この2つのエピソードをもって、日本人が謝罪することを知る謙虚な民族であり、ビルマ人がその逆で傲慢な民族であるとするのは、早合点である。日本人にもなかなか謝りたがらない方面があるのはつとに知られている。