日本でビルマ難民支援を10年続けている日本人のAさんは、ビルマのビザが出ない。
団体ツアーにまぎれて申請すれば大丈夫かも、と考えたが、それでもダメだった。彼の名前は、ビルマ軍事政権のブラックリストに載っているのだ。
カレン人の取材を続けているジャーナリストも、ビルマ難民のために働いている弁護士も、この「ブラックリスト」に載っているという話だ。
また、ビルマを頻繁に訪れる仕事をしている人や、配偶者がビルマ国籍の人にとって、もしも、ひょんなことでビルマ政府に睨まれて、ブラックリストに載ったりしたらそれこそ一大事だ。
だから、これらの日本人はビルマ難民のために働いたり、民主化活動を支援したとしても、自分の名前が表に出ないようにつねに細心の注意を払っている。
いっぽう、活動家やジャーナリストでも、ビルマを訪問するという選択肢を残したい人は、人前に出たり、記事を書いたりする時は偽名を使うことがある。
ある人が偽名を使っているのをはじめて知ったとき、ぼくは自分もこれは考えなくてはならぬ、しかもその「活動名」はかっこ良くなくてはならぬ、と一生懸命に思案したものだが、そもそもがブラックリストに載るほど有名でもないので、時間の無駄であった。
とはいえ最近、気味の悪い話を聞いた。