あるカレン人が別のカレン人をかねてから軍事政権のスパイだと疑っていた。
そのカレン人がある日、夢を見た。
彼は巨大なビルの中にいる。そのビルの警備員は彼を追い出そうとしたが、彼は自分は招かれているのだと言い張り、なんとか入れてもらったのだ。
錯綜した通路をさまよったのち、彼はどうやら目的地にたどり着いたように感じる。彼はためらわずに目の前のドアをあける。
立派な会議室だ。だが、驚くべきことにその真ん中には巨大な鍋が置かれており、油が煮えたぎっている。
もっと驚いたことに、その油の中で会議が行われているのだ。人々は平気な顔で議論をしていて、まるでお湯にでもつかっているかのようだ。
「てんぷらだ!」と彼は恐れおののく。
その油の中には、彼がスパイだと疑っている人物もいて、やはり楽しそうに話している。
何の根拠もなくある人物をスパイだと言いふらすのは文句なく愚かな行為であり、不愉快きわまりない。だが、この夢の話には、あまりのしょうもなさに笑ってしまった。