小学生の頃、同級生が夏休みの自由研究で賞をもらった。
それは、夏の夜の電灯に集まる虫たちの研究で、彼は毎年同じテーマを選び、その根気と蓄積が評価されたのである。
自分がどんな「自由研究」をしたのかはさっぱり覚えていないくせに、彼の研究だけは印象に残っている。そんなわけで、夏休みの自由研究と聞くと、ぼくは虫のことを連想するようになってしまった。
難民のカチン人家族がいる。ご夫婦とひとり息子。ご夫婦はぼくがずいぶん世話になっている方々で、お二人とも相当の人物だ。
小学校6年生になるその息子さんがこの夏こんな自由研究をしたそうだ。
「独裁者の研究」
ぼくが小学校の頃とは自由研究もずいぶん違うだろうからわからないが、こんなことを調べる子どもはそういないのではあるまいか。はやくも親譲りの大物ぶりを発揮したというべきであろう。
いっぽう、独裁者のほうもまた、虫や花と同列に扱われることで、本来の小物ぶりを明らかにされたのである。
ちなみに、その自由研究によれば、ビルマのタンシュエ大将は世界で第3位の独裁者だそうだ。
世界にはまだまだいろんな虫がいる。