2010/05/21

死後の世界

仮放免申請している収容者の仮放免が認められた、と入管から保証人に連絡が入るのは、たいてい予定される仮放免の日の2〜3日前だ。月曜日に連絡が入って、水曜日に、水曜日に連絡が入って金曜日に出る。あるいは木曜日に連絡が入って翌週の月曜日にという場合もある。慌ただしい場合には前日、などということもある。

入管の指定した仮放免の日が保証人にとって都合が悪ければ、後にすることができる。前倒しになったケースはないようだ。

仮放免許可の通知の際に保証人が入管の職員から告げられるのは、

収容者の名前
仮放免の日時
保証金の金額
保証金と身分証明書と印鑑を持参すること

である。

もうひとつ要求される事柄がある。それは、仮放免の許可がおりたことを、当の収容者に教えないでほしいということである。

この理由については、入管の人に尋ねたこともあるが、よくわからない。

仮放免許可を聞いた収容者が、うれしさのあまり卒倒する可能性があるとか、大はしゃぎして、周りの収容者に迷惑をかけかねないことを心配してのことであろうか。

あるいは、入管は収容者を小学校よろしくみんな平等に扱っているので、ひとりだけ突出するということを憎んでいるからであろうか。

それとも、仮放免許可の出た者に対する、他の収容者のねたみ、さらにはそれによって引き起こされる暴動を恐れてのことだろうか。

いや、もしかしたら、仮放免許可という吉報を収容者に伝えるのを入管の職員は無上の喜びとしているのかもしれない。「許可が出たことを知ったときのあの顔、あの喜びようときたら!」 よい知らせの運び手になることを拒む者は誰もいないのである。

とすると、入管は収容者にこの吉報を告げ知らせる幸福を独占しようとしているのかもしれない。何たる巨大利権であろうか。

あるいは、収容者のことを考えたのではなくて、収容者を管理する側である職員のことをおもんぱかってであろうか。つまり、これらの人々にしてみたら、収容者がいなくなることは、職務上さみしい出来事であり、心の傷となって残りかねないのである。

入管側にとって収容者の仮釈放は、他界であり、昇天であり、永久の別れだといえよう。

そのようなわけで、心のケアの一環として、収容者をなるべくそっと釈放することにしているのかもしれない。気がついたらいなくなっていた、ぐらいの感じがちょうどいい。

(おそらく、仮放免が本決まりになるのは保証金を支払ってからなので、それまでは確定事項とはいえないので教えない、ということだろうと思う。なお、仮放免許可手続きについては以前、BRSAのブログ(仮放免の詳細)に書いたものもあるので、そちらも参照していただきたい。)