2013/06/12

まんだら屋の良太

わたしは大学に入るのに2年かかった。

出来が悪い上に,勉強もしないというていたらくで,なんとか学校にもぐり込むことができたものの,浪人期間中に身に付いた怠け癖は今もたたっている。

実際,あの時期に自分が何をしていたのか,さっぱり覚えていない。せいぜい読書に夢中になっていたことぐらいで。といっても畑中純の『まんだら屋の良太』という漫画。今ではあまり触れられることもないが,傑作だ。

それだけ覚えてりゃ十分。

さて,先日,牛久の東日本入国管理センターで,収容中のビルマ人難民の仮放免手続きをした。

で,その人は無事に外に出てくることができたのだが,外で改めて対面してみると,ずいぶんと若い。

それもそのはず24だ。

しかも,彼は2年間も収容されていた。品川に7ヶ月,牛久に1年半。

わたしの無駄な2年間は自業自得であったが,彼の2年のロスは必ずしもそうとはいえない。

ビルマがまともな国だったら,てか,世界がもっとまともだったら,異国で2年間も収容されるなんて目に遭いはしなかったろう。そのかわりに,まじめに勉強か何かしているか,まじめじゃなくても喫茶店かどこかで友人たちと楽しい時間を……なんにせよ収容所よりはましな生活だ。

若いうちの時間の浪費は後で響く。経験者が言うのだからこりゃ間違いない。東京へ向かう電車の中,彼の屈託のない様子に,わたしはどうにもやりきれない気分になった。

彼の代わりにわたしが収容されちゃる。

で,『まんだら屋の良太』を読むのだ。なにせ50巻以上ある。じっくりと。

いや,でも,これじゃ,2年には足りないか。

追加で差し入れだ。

なんでもいいけど,とにかく長いの!

海賊の漫画? 勘弁してくれ。

『弐十手物語』全110巻?

うってつけだ。