2009/12/21

ビルマの国民登録証つづき

登録証に民族と宗教が記載されていることが、どれだけ怖いことか、日本社会で暮らしているとなかなかわからない。

自分の民族や宗教をはっきりと記せるのだから、むしろ誇らしいことではないか、などとも思ってしまう。

確かにそう思わせるようなましな政府もあるかもしれない。だが、ビルマ政府のような民族差別と宗教差別を支配原理としている政府においては、これは逆に作用する。

簡単にいえば、宗教と民族が記されている登録証は、ビルマ人仏教徒とそうでない者を区別するのにもってこいなのである。

そうやって区別さえしてしまえば、ビルマ政府にしてみれば、ビルマ人仏教徒ではないとされた人々を、「反乱分子」として取っ捕まえたり、強制労働に駆り立てたり、あるいは思い切って全員殺害してしまうのはまったく簡単なことである。

その意味では国民登録証は、ビルマのことを真剣に考える人々がいつか起こるに違いないと予測している「民族大虐殺」の下地をなしているのだ。