2011/02/27

独裁の大義(6)

しかし、ビルマ軍事政権にとっては実際のところ、ビルマという国の形、連邦制をめぐる見解などどうでもいいのだ。非ビルマ民族が連邦制についてなんといおうと、そして、それがいかに正当であろうと、ビルマ軍事政権の連邦制に対する見解、つまり非ビルマ民族こそが連邦制を危うくしているという認識が変わる可能性はない。

なぜなら、連邦制云々は、ビルマ軍事政権にとっては、非ビルマ民族の居住地域を支配するための口実にすぎないからであり、ここに独裁の本音、本当の大義が存在する。

ビルマ連邦は、非常に豊かな資源にめぐまれている。それは森林であったり、金や翡翠、石油や天然ガスなどの地下資源であったり、河川の水力を利用した電力であったりするわけだが、これらはそのほとんどが、非ビルマ民族の居住する地域に産するものだ。またこれらの資源、特に電力と天然ガス、材木などは、少数民族居住地域を通過して中国やインド、タイに送られている。

すなわち、非ビルマ民族の地域こそが軍事政権の富の源泉、いや基本的には田園地帯であるビルマ民族の居住地域のことを考えれば唯一の源泉なのであり、この地域の完全掌握、思うがままに利用できる支配を確立することは軍事政権の死活問題ですらある。それゆえ、軍事政権にとってはこれらの富をいかにして独占するか、いかに本来の所有者である非ビルマ民族を排除するかが、常に最大の関心事なのである。

「非ビルマ民族に本当の自治州を? バカいうな、それじゃ、オレたちの取り分が減っちゃうよ!」というのが嘘偽りなき本音なのだ。