2010/11/12

交通事故

木曜日の夕方、交通事故に遭った。保育園に子どもを迎えに行く途中だった。

停車中の軽自動車の右側を自転車で通り過ぎようとしたところ、急にドアが開いて、自転車ごと横倒しになった。

対向車線から軽トラックが向かってきているのを知っていたので、必死になって這って逃げたが、幸いなことに向こうは停まってくれていた。

後から車が来ていたら轢かれていたかもしれない。子どもを乗せていたらと思うとゾッとする。

血も出ないし、頭も打たなかった。右肩から落ちたので、そのあたりが痛むだけだった。運転手は30代後半から40代の女性で、すぐに飛び出てきて「大丈夫ですか」と言った。

ぼくは動転していたので「大丈夫です」と言ってそのまま自転車を押して行った。女性はそれ以上何も言わず、コンビニに入った。その前はいつも車が路駐していて、毎日「危ないな」と思って自転車で通っていたところだった。

コンビニの脇にまで自転車を運ぶと、年配の男性がやってきて「とんでもない人だ」と怒った。別の老婦人が「あなた連絡先を聞かなきゃダメ」と言ってぼくを連れてコンビニに入った。運転手の女性は小学生四〜五年生ぐらいの息子とコピーを取っていた。

老婦人はその母親に「酷いじゃないの」と言って出ていった。ぼくは気の毒になって、その母親から携帯番号と苗字だけ聞いて再び自転車に戻った。

自転車では男性が待ち受けていて、警察を呼ぶべきだといろいろ助言してくれたが、時間がなかったし、面倒くさかったし、復讐的なことをするのもいやだったので、礼を言って保育園に向かった。

ぼくは以前、日本で詐欺事件に巻き込まれたカチンの人々が適切な行動を取っていないことを罵った。これらの人々が自分のことしか考えていないのに腹を立てたのである。しかし、いざ自分がそのような目に会ってみると、自分がやはり自分のことしか考えていないことに気がついた。

もちろん警察を呼ぶべきだったのである。これは後になって冷静に考えてみて気がついたことだ。ぼくはそのあたりが路駐が多くて危険だと前から思っていた。だからこそ、警察を呼んでそのような事故があったことをしっかり記録に残してもらうのは重要なのだ。

ぼくが通報しなかったせいで、誰かが同じような事故に遭うかもしれない。そしてその被害者はぼくよりも幸運とはかぎらないのである。ぺしゃんこで血まみれ、脳みそをぶちまけて、遺族も見分けが付かないほど、しかも、前と後ろの補助席に子どもまで乗せていて、一緒にぐちゃぐちゃ、だなんて可能性だってあるのだ。そのときはぼくもやはりそれらの死に責任があるのだ。

復讐はいやだ、面倒くさい、オオゴトになるのは恥ずかしい、そんな個人的な思惑、くだらないかっこつけのために、ふさわしい行動を取れなかった自分を恥ずかしく思うとともに、ぼくは自分が非難したカチンの人々よりも立派でもまともでもないのだということを痛感している。

それにしても、教えてもらった電話番号、 何度かけても出てくれないのだ!