2010/06/21

外国人研修生制度(1)

外国人研修生制度は、「日本が技術移転により開発途上国における人材育成に貢献することを目指して、より幅広い分野における研修生受入れ」を行う制度(財団法人国際研修協力機構HP「制度の主旨」より)であるが、実情は大いに異なることが指摘されている。

外国人研修・技能実習制度は、「国際貢献」や「途上国の人材育成」という理念を掲げながら、実際には建設業、農業、漁業、縫製業、食品加工業など人手不足の分野を中心に、1年から最大3年のローテーション方式の安価な労働力として利用されています。(外国人研修生権利ネットワーク 設立趣意書より)

度はずれた低賃金、行動制限、パスポートの取り上げなどのさまざまな人権侵害から「現代の人身売買」「現代の奴隷制」と呼ばれているほどだが、多くのビルマ人もこの研修制度によって来日し、実数はわからないものの、研修先を逃げ出して、難民認定申請を行う人もいる。

もっとも、こうした難民認定申請者が、まったくの虚偽申請というわけではない。その多くは、もともとビルマにいる時から逃げるべき理由があり、日本の研修生制度を利用して国外脱出を図ったというところだと思う。

これらの人々が研修生として日本に来るためには、ビルマでそれなりのお金を払ったに違いない。それは向こうの送り出し機関かもしれないし、あるいはその機関との間を取り結ぶブローカーにかもしれない。

いずれにせよ、パスポートでも何でもブローカーと賄賂に頼らざるをえないビルマの現状からすれば、まったく公正にというわけにはいかず、この制度のおかげでさまざまな人々が潤っている可能性がある。そして、研修生自身をのぞけば、それら得をした人々のほとんどが軍事政権の関係者なのである。

元研修生の難民申請者に対して「制度を悪用した」と考える人もいるかもしれないが、そもそも制度自体に無理がある。

外国人研修生制度に詳しい人によれば、こうしたこそくな手段で安価な労働力を確保しようとする魂胆自体が間違いで、労働力として外国人を必要とするならば、きちんと移住労働者としての権利を保障するような環境を整備した上で、正々堂々と入国してもらうのがいいのだという。

いずれにせよ、この極めて問題の多い制度によって、日本政府はブローカーである軍事政権の関係者に幾ばくかの利益を与えて上げているわけだ。

なお、ビルマ人の研修生についての統計(2007年まで)などについては次を参照のこと。

http://www.jitco.or.jp/send/situation/myanmar/index.html