2010/03/12

チン民族の公正なる特産品(1)

ここに数回に渡って掲載する文は、2月21日のチン民族記念日のために
在日チン民族協会から頼まれて書いたもの(に若干の手を加えたも)です。


在日チン民族協会(CNC-Japan)の会長、タン・ナンリヤンタンさん(タンさん)にはじめて出会ったのは、2003年12月12日のことで、ぼくはあるカレン人に連れられて、四谷で行われたデモを見物に行ったのだった。確かキンニュンが来日していて、今に比べればはるかに少ない規模の在日ビルマ人が集まって、抗議の声を上げていた。

それまでにぼくはチン人に会ったことがなかったわけではなかったが、政治活動をするチン人に出会ったのははじめてだった。もっとも、そのときのぼくはチン民族のことも、政治活動のこともなんにも知らなかったのだが。

今、そうした事柄についてぼくが多少なりとも知っているとすれば、それは多分にタンさんのおかげでもある。非ビルマ民族の政治活動の現状と将来について、彼ほど明確なビジョンをもっている人はそうはいない。

さて、タンさんはどこの馬の骨かもわからない初対面のぼくに丁寧に挨拶をしてくれ、一緒に写真を撮ろうといった。それで、四谷駅前でタンさんとそのカレン人と3人で写真に収まったわけだが、後になってこれもタンさんの政治活動のひとつであることを知った。非ビルマ民族を歴史の闇に埋もれさせないために、どこで、誰と、何をしたかを写真や文書で克明に記録を残さねばならない、というのだ。