2009/11/09

森を見て木を見ない話(2)

2.あるカレン人組織の誕生

ぼくは在日カレン人による政治団体、海外カレン協会(日本)OKA-Japanの創立者のひとりだ。どうして日本人であるぼくがカレン人の団体の設立にかかわったか、話せば長くなるが、それは今回の話の主題ではない。

主題となる事件が起きたのは、OKA-Japanが結成されて1ヶ月ほど経った2006年4月のことだ。

新しい組織はまず最初に何をなすべきか。なんといっても、日本のビルマ民主化団体、非ビルマ民族政治団体のなかで認知されること、さらに日本人の支援団体の中でカレン人のこういう組織があるということを知ってもらうことが優先されなければならない。もちろん、組織作りやメンバー間の協力関係の育成などやることはいくらでもあるが、どんなに立派な人材と組織があっても、他の組織から相手にされないのではお話しにならない。そういうわけで、イベントなり集会、デモなどに「OKA-Japan」という旗を掲げて積極的に参加することが必要となる。

折りも折り、うってつけのイベントがあった。毎年4月に行われる水掛け祭である。ビルマ民主連盟(LDB)が主催するこのビルマの伝統行事には、多くの民主化団体、非ビルマ民族政治組織が集い、お店を出して伝統料理を売ったり、歌や踊りを披露したりする。

OKA-Japanも参加させてもらおうとさっそく申し込みをしたが、すでに空き場所はなかった。すると、話を聞いたカレン民族連合(KNF- Japan)の代表のMさんが、「自分たちも今年も店を出してカエルのからあげを売るつもりでいるが、こちらは人手も少ないので、店を半分貸すからOKA -Japanで使ってください」と親切にも提案してくれたのである。