2010/10/22

民主化の木(2)

演説会の演説など、たいていは紋切り型、スローガン以上のものではなく、おそらくまともに聞いたらすぐさま退屈してしまうに違いないが、いわばこの木はどの聴衆よりも辛抱強く聞いているわけで、まったく立派なものだ。

つまり、この木は日本における民主化活動の生き証人とでも言うべきで、ビルマが民主化されたあかつきには、宣伝次第によってはちょっとした観光地にもなりそうだ。「民主化の木」だなんて呼ばれて。

それに、よく植物に音楽を聴かすとよく育つとか、味がよくなるとかいって、それを実践している人もいるが、これだけ演説を聴かされれば、木の方にも何か変化が起きているという可能性だってないとはいえない。

ある民主化活動家が五反田南公園の立派な木に感心して撫でたり触ったりしていると、別の民主化活動家がそれを見咎めて言った。

「あぶない! ちょっとの力でヒビが入るから。なにせウロだらけだからね」

こっちのほうのジョークは、ぼくが作ったもの。