2013/05/25

ミッター・スッター

ミッター・スッター(mitta sutta)というのは,パーリ語仏典の言葉で,漢語では「慈経」と訳すようだ。

どういう意味かは分からないが,アシン・ソパカ師はこれを「愛と優しさ」と訳していた。

これは2007年のサフラン革命の時のスローガンで,アシン・ソパカ師がこの言葉を発案した経緯が興味深かった。

1989年のベルリンの壁崩壊のきっかけとなった大衆運動に「月曜デモ」というものがある。もともとはライプツィヒの教会が率いる平和のための小さな集会だったのが,やがて多くの東ドイツ市民が加わるようになり,しまいには歴史を動かすほどになった。

その時のスローガンが「Wir sind das Volk」(われわれは人民である)で,アシン・ソパカ師の解説によれば,このスローガンには政府については何も語ってはいないようでいてその実,「人民」を尊重しない政府に対する痛烈な批判となっているとのことだ。

2003年にドイツに亡命した彼は,この月曜デモについて知り,ビルマでも同じようなスローガン,つまり平和的だが政府を批判しているような言葉がないかと考えた結果,件のミッター・スッターが生まれたのだそうだ。