2010/04/17

地下銀行

地下銀行とは「銀行法等に基づく免許を持たず、不正に海外に送金する業者」(Wikipedia)であり、今回の送金偽装詐欺事件はこの地下銀行の問題が背景にある。

もちろん、地下銀行を通じて海外に送金するのは違法なことであるが、在日ビルマ難民の立場に立ってみると止むに止まれない事情もある。

銀行を通じてよりも、地下銀行を通じて送金するほうが損しなくて済むというのである。

これはつまりこういうことだろう。たとえばビルマに1万円送金したとすると、ビルマで受け取るのは約5万チャット。レートは100円=500チャットだ(正確には1米ドル=約450チャット)。

しかし、この公認レートはチャットの本当の価値を反映してはいない。通常用いられる実勢レートでは100円=約1000チャット(あるいはそれ以上)となり、日本円の1万円は実際には10万チャットに等しい。

そして、地下銀行で用いられているのはこの実勢レートだ。まともな銀行から送ると、せっかくのお金が半減してしまうのであれば、地下銀行を使わない理由はない。

しかも、「お金が半減する」というのは実際には間違いで、正しくいうならば「軍事政権に半分ピンハネされる」というのがふさわしい。銀行の幹部はもちろん軍の幹部である。これでは、ますます普通の銀行からでは送りたくなくなる。

繰り返しいうが、地下銀行は違法なことである。そればかりか、今回の詐欺事件のような犯罪をも誘発しうる。だが、その背景にある政治的な事情を解決しないかぎり、在日ビルマ社会の地下銀行の問題はなくならないだろうと思う。