2010/04/07

送金偽装詐欺事件(6)

4)恐怖の中に育った人々ならではの理由
軍事政権の暴力の中で生きてきた人々のため、脅しには非常に敏感である。彼らは、脅しが脅しでは終わらないということを身をもって実感しているのである。

詐欺をした女性の弟が姉に手を出したら殺すという考えをもっていると聞いた被害者は、ただちに警察に訴え出ることを諦めた。自分の身ばかりではなく、子どもや、故国の家族に危害が及ぶのを恐れたのである。

この脅しがなされたのは日本であり、こんな脅しが日本でまかり通るのは日本人として不愉快だが、在日ビルマ社会にはそれ独自のリアリティがあるのである。

面白いのが、この弟は決して「殺してやる」とはいってはいないことだ。なんでも「俺は無性に人が殺したい〜」と拳を固めながら言っていたそうだ。

このように言質を取られないようにやるのがビルマ社会の脅しや中傷の常套であり、これはぼく自身身をもって体験している(もっともこれは日本社会でも変わらないかもしれないが)。