2012/06/11

演説

5月30日、ディペーイン虐殺事件から9年目のこの日、ビルマ大使館前で政府に真相究明を求めるデモが行われ、わたしは在日ビルマ難民たすけあいの会を代表して演説した。

あらかじめ数分演説すると聞いていたので、原稿をプリントアウトして行った。この程度の演説でわざわざ準備したわけ。

わたしはしゃべるのがへたで、滞在歴20年の外国人のほうが立派に日本語で演説することがあるほどのなので恥ずかしい。

へたくそでも堂々としゃべればよいのだが、わたしは卑劣な演技をした。デモ参加者の前に立って、演説をはじめるまえに、原稿をポケットから取り出して、ちらと見て再びしまったのだ。もちろん、そんなことをしたところで、書いた内容が頭に入ってくるわけはない。

自分がへただと分かっているのなら、はじめから最後まで原稿を見て話すがよい。

原稿を見ずに話せる自信があるのなら、はじめにチラ見なんかするもんじゃない。

それでもこんな中途半端なことをしたのは「一応準備はしてきたんですがね、これを読み上げるのは止めときましょ。だって、演説しているみなさん、そうしてないでしょ。だから、万やむを得ず、断腸の思いで仕舞うわけです。そのせいでわたしがうまく話せなかったとしても、わたしのせいではないですからね」 と、太々しくもアピールするため。

で、結果は惨憺たるものだった。通訳の方に迷惑をかけた(とても日本語ができる人だ!)。あまりに支離滅裂なので、みんなが怒りだすのではと思ったくらい。危うく逃げ出すところだった。しかしどこに? ここじゃビルマ大使館以外ない。抗議にやってきたはずのビルマ大使館に逃げ込もうとするとは、こりゃなんたる珍事件! この爆笑映像がネットに流出したなら、世界中がこぞって「いいね!」ボタンを連打することだろう。

ま、そうならずに済んだ。よくよく考えてみりゃ、わたしの話の内容なんか大して重要じゃない。なお、演説原稿はBRSAのほうに資料として掲載してある(こちら)。