2014/04/16

肉の歓び

肉の歓びというともっぱら性的なものが思い浮かぶが,子持ちになってみると,自分の(あるいは自分が慈しんでいる)子どもを抱くというのも,肉体を通じた歓びの大きなものであることに気がつく。

入国管理局収容所には,ビルマ難民に限らず,多くの外国人が閉じ込められているが,なかには自分の子どもと引き離されている人もいる。

また,わたしの周りにいるビルマ難民にも,収容により1年いやそれ以上の子どもとの別離を経験してきた人がいる。

これらの人々は,自分の子どもがいかに愛おしくても,少なくとも入管にいる間は抱くことができないのである。面会室で短い間,顔と顔を会わせることはできる。声を聞くことはできる。だが,触れることはかなわない。

こうした別離が子どもに与える悪影響は言うまでもないが,収容されている親にとっても大きな傷跡として残る。罪悪感,理不尽な怒り,抑鬱状態……。正確な調査はまだこれからだが,多くの収容経験者と家族がいまなお苦しんでいるはずだ。

ところが,こうした問題を認識したせいかどうか知らないが,入国管理局のほうの対応も最近,少し変わってきているという。

BRSAの事務局長のフラティントゥンさんが教えてくれたのだが,品川の入管では,子持ちの被収容者は,面会のさいに自分の子どもと触れ合うことができるようになったのだそうだ。

「昔と違うね,今の入管は優しいね」と,やはり収容経験を持つフラティントゥンさんは言う。

なんでも弁護士面会室には仕切りがないそうで,そこで家族が直に会うことができるのだということだ。

「子どもを抱っこしたりはできるけど,奥さんにチューとかはできません!」

さすがにそっちのほうの肉の歓びはだめか。