2014/12/25

マナウの種類(5)

8)ニンタン・マナウ(Ninghtan Manau)
「わたしたちカチン民族は各地にドゥ(Du、貴族)がいます。例えばラパイ・ドゥ、マラン・ドゥ、ラトウ・ドゥと言うのがそれですが、その人たちが戦争が避けられないと悟ると、血縁関係にあるドゥを呼び、『わたしたちはこれこれと戦争をします』と宣言し、指揮官や参謀を決めます。出陣の前に行うのがこのマナウです。(マナウ・リーダー)」

また、これは開戦にさいして士気を高める目的もある(Traditionsp33)。

9)クムルン・マナウ(カチン文字表記不明)
「戦争の前には本当ならば、ニンタン・マナウを行うべきです。しかし、(2011年6月に)ビルマ政府が突然攻撃してきたため、ニンタン・マナウを行うことができませんでした。現在は戦争中なので、(2012年4月に東京で)クムルン・マナウを行いました。このマナウの目的は、遠方にいる自分たちの兄弟姉妹、同じ民族に『今わたしたちは攻撃されています、迫害されています、どうか助けてください』というメッセージを太鼓に合わせて広く伝えることにあります。中国、インド、タイ、ビルマのカチン民族、それ以外の場所にいるすべてのカチン民族に向けられています。(マナウ・リーダー)」

10)ジュビリー・マナウ(Jubilee Manau)
このマナウはキリスト教化によって生まれたマナウである。ジュビリーは旧約聖書のヨベル書に由来し、キリスト教では25年ごとに開催される記念式典を指す。「これは25年、50年、75年、100年とキリスト教信仰を節目節目で記念するマナウです。わたしたちの時代になって始まったもので、地域によってそれぞれです。例えばその土地の教会建設75周年などに開催され、すべてのカチン人に告げ知らせ、来てもらいます。(マナウ・リーダー)」

カチン人にはバプテスト派かカトリックが多く、双方とも19世紀後半に宣教師によってもたらされた。1977年はバプテスト派の福音伝来100周年に当たり、盛大なジュビリー・マナウが開催され、20万人以上のカチン人がビルマ中、世界中から集まったという。

また、バンマイサマキでも2010年に村の25周年を祝うジュビリー・マナウを開催している。

ナウションの衣服に刺繍されたカチン民族の印とマナウ柱