2014/12/04

『アボーション・ロード』第7章 地の獄の囚人たち(7)

わたしはここでインタビューを中断してココジーとミンゼヤーの二人に日本のビルマ人に向けた短いメッセージをお願いする。カメラに向かって一人一人が話してくれる。感謝と励ましを述べるココジーの口元をよく見てみりゃ、歯が悪そうだ。刑務所で歯をやられる人もいる。日本の入管に収容されているビルマ人の歯だってすぐやせ細っちまう……。ミンゼヤーは、さらなる支援を呼びかける。彼はココジーとは異なり、がっしりしてる。腕も太い。イラワディ誌が報じるところによれば、彼は二〇〇八年一一月一一日にインセインの法廷で刑を宣告された時、「たったの六十五年かよ!」と答えたそうだ(二〇〇八年一一月一一日付けの記事)。いいツッコミだ。

わたしは二人を見ながら尋ねる。「刑務所内では二人は連絡できたのですか?」

ココジーが答える。「それぞれバラバラに収監されていたので、簡単には連絡は取れなかった。家族とは当局の許可があれば連絡を取ることもできたがね」

刑務所での生活と釈放の日については、イラワディ誌が彼にインタビューした記事がある(二〇一二年一月二二日付け)。それによれば、新聞はひと月遅れで、家族の訪問は許されない、はじめは一人で房にいたが、やがて五人まで増えたものの、最後にはまた一人になったとある。獄中で読んだ本として挙げたのはバラク・オバマの"The Audacy of Hope"と"Dream of My Father"で、そのプラグマティックな政治観に感銘を受けたと。釈放後、シャン州から飛行機でヤンゴンまで連れて行かれた彼はヤンゴン空港で彼を出迎えるジャーナリストとメディアに驚き、報道の解放を実感したという。

そう、釈放のことも尋ねなくっちゃ。

インタビュー風景。手前はネーミョージン。

『アボーション・ロード』「第7章 地の獄の囚人たち」についてはまえがきを参照されたい。