2014/11/25

カチン州砲撃事件について(政府系報道)

11月19日お昼に起きたビルマ軍によるカチン軍士官学校砲撃だが、これについて、ビルマ情報省が発行する政府系の新聞「The Global New Light of Myanmar」が報じていることを、ビルマ情報にも通じておられるBI総研の大村哲さんから教えていただいた。

もともとは「The New Light of Myanmar」 という名前で、ビルマの「開国」にともない「Global」という冠をいただくようになったこの日刊紙の11月21日号の「大口径火器の警告弾によりカチン陣営に死傷者」という記事である。

それによると、カチン州に展開するビルマ軍は人員交代や道路建設などの際に、和平交渉中にも関わらずKIAから攻撃を受けることがたびたびあったそうで、

「旅行する地元民を警護したり、防衛拠点での人員交代や道路補修を行う際に、国防任務を離れるビルマ軍兵士を攻撃しないよう求めるビルマ軍の度重なる警告にも関わらず、部隊をコントロールできないKIAがその軍事行動を増長させていたため、ビルマ軍は自分の陣地から警告のために大口径の火器で砲撃し、それがKIAの陣地に着弾して死傷者を出した」

のだという。

事実関係についてはKIA側、ビルマ軍側のどちらが正しいか分からないが、KIAにとってはビルマ軍が「防衛拠点」なるものを自分の民族の土地に持っていること自体が問題なのだということには留意すべきで、実際記事の書き振りからはそうした問題が巧みに覆い隠されている。おそらく、カチン人ならばこの記事を次のように読むのではないだろうか。

「ビルマ民族の企業を警護したり、侵略拠点で人員交代や道路補修などの軍事行動を和平交渉中にも関わらず一方的に行うビルマ軍に対し、KIAはかねてから警告を発してきたが、これに対し、ビルマ軍は侵略拠点(カチン人の土地なのであるからビルマ軍の「陣地」などありえないという考え方だ)から突然、大口径の火器でKIAの陣地を砲撃し、多くの死傷者を出した」

それはともかく、「The Global New Light of Myanmar」のこの記事全文を読んでなんか思い出すなと思ったら、我が国の誇る保守論客、安倍さんの言葉遣いでした。自分に都合のいい中身のない言葉だけを語ると、どこの国でも似てくるのかもしれませんね。