2012/12/18

キラキラした瞳

ビルマとか、あるいはタイの難民キャンプとかに行った人が、たまに言うのだが、そこで出会った若者の目がキラキラしていた、と。

で、目を輝かせている若者のために何かしてあげたい、というわけだ。

それはまあいいのだけど、目を輝かせるって。そこを強調されてもな。

その言葉の裏にはたいてい、日本の若者は……どんよりした……魚の腐ったような……ヘドロのような……というのがあるわけだ。あてこすりだ。

だが、こりゃはっきり言って間違いだ。

例えば、まあ、あんたが難民キャンプに行くとしよう。そこじゃ、若者がみんな目を輝かせている。そりゃ、間違いない。だが、あんたがいなくなった途端、その目の光は消えるのだ。

つまり、 連中がなんで目を輝かせていたかっていうと、あんたに会ったからだ。日本とかいう金持ちの国からやってきた立派な身なりのあんたが、自分のつらい状況を変えてくれるかもしれない、助けてくれるかもしれない、そんな希望をあんたに見いだしたから、物珍しさ半分であるにはしても関心を持ったのだ。目を輝かせて、あんたの話を聞いたんだ。

そう、年がら年中四六時中目をキラッキラさせてるわけじゃあないんだ。下町人情キラキラ橘商店街じゃないっ。普段死んだ目をしている分だけ、食いつくんだ。輝かせるんだ。

これで、どうして日本の若者の目がキラキラしていないかわかったろ。あんたを見るたびに連中、目を死なすんだよ。「消灯! 就寝!」とばかりに。

それであんたがいなくなった途端、連中、布団から飛び出して、目をキラキラさせて枕なげをおっぱじめんだ。