さて、このデヴィッドさんを招いて行われる会は題して「Meeting of UNFC Leader, David Thackabaw & All Karens in Japan」といい、これを記した垂れ幕とカレン民族旗が会場にすでに飾られている。
会場となったのは、海外カレン機構(日本)のメンバーのひとりが働く池袋の「ふらいぱん」 というお店。
地下一階にあるこの居酒屋にカレンドレスを着たカレン人がだんだん集まり、やがてデヴィッドさんもやって来る。
デヴィッドさんが来ても、すぐに会が始まるようではなかったので、時間を作ってもらい話を聞く(以下、メモをもとに書き記す)。
Q:現在のビルマの状況についてどう考えているか?
デヴィッド(D):テインセイン大統領は誠実な人のように思える。しかし、彼には実権はない。それは彼がカチン民族との戦争を止めることができないことからもわかる。現在の政治的変化は外国から支援をもらうためのものでしかない。いっぽう、ビルマの国内外には難民が溢れており、まだ平和とはいえない状況だ。
Q:日本政府は本当のビルマの連邦制をもとめる非ビルマ民族の立場を分かっているのか?
D:日本政府はわたしたちの立場は分かっている。だが、以前は気に留めもしなかった。
Q:今後のビルマの動きはどのようになるのか?
D:政治的対話が重要だ。また、難民と国内避難民に対する教育、健康、農業に関する支援が急務だ。破壊されたビルマを復興しなくてはならない。
Q:日本政府は何をすべきか?
D:日本政府には政府ベースではなく、NGOベースの支援を要請した。
Q:これからのビルマ連邦はどのようになるのか。「ビルマ人に1チャット、カレン人も1チャット」という民族の平等は実現するのか。
D:われわれが求めているのはそのような平等ではなく、民族の人口に応じて分配しあうプロポーショナルな平等だ。
「でも」とわたしは尋ねた。「これまでにカレン人が被ってきたダメージを考えると、ビルマ民族よりももっと多くもらうべきではないのか?」
おっと、ここで時間切れ。人々がやってきてデヴィッドさんを立たせる。会が始まるのだ。彼がどう答えるか聞きたかったが、しょうがない。