4月25日から5月4日にかけて、ビルマ連邦民族統合評議会(UNFC)の代表3人が日本の外務省の招きにより来日した。そのうちUNFCの副議長を務めるのが、現在カレン民族同盟副議長のデヴィッド・ターカーボウ氏だ。彼は現在のカレン民族の中でもよく英語で文を発表する人で、次に翻訳・紹介するものもそのひとつだ。この翻訳自体はずいぶん昔のもので、誤訳もあるかもしれないが、カレン人とKNUのまとめとしては分かりやすいと思う。原文はTHE KAREN PEOPLE OF BURMA AND THE KAREN NATIONAL UNIONで見ることができる。
ビルマのカレン民族とカレン民族同盟
David Tharckabaw, Roland Watson
2003年12月
目次
1.カレン民族が社会的・政治的に目指すもの
2.カレン民族の歴史と文化
3.カレン民族の政治組織
1.カレン民族が社会的・政治的に目指すもの
カレン民族同盟(KNU)は、ビルマのカレン民族のための政治的組織であり、政府である。その基本目標は、ビルマ軍事独裁政権の手による大量虐殺に苦しんでいるカレン人に解放をもたらすことにある。この解放は3つの要素からなる。すなわち、食料や医療援助の形で人道援助を提供すること、自己防衛の手段を提供すること、そして、カレン人やその他の民族に対する虐殺行為、およびビルマに暮らす全国民に対して加えられるあらゆる人権侵害に完全に終止符を打ち、二度と起こらないようにするために、独裁政権たるSPDCを権力の座から引きずり下ろそうと勤めているすべての組織と協力すること、である。
さらにKNUは、SPDCとの誠実な対話と、民主主義への平和的移行を常に望んでいる。
また、KNUは抵抗政府以上のものであろうとしている。つまり、将来の民主主義連邦国家ビルマにあって、体制面においても機能面においてもしっかりしたカレン州政府を形成すべく努力している。
もっと一般的にいえば、カレン人は、ふたたび自分たちの村、畑、価値と文化を確立し、ビルマの他の民族と協力しながら平和に暮らせるように、ビルマ国内に社会的調和のある状況が生み出されることを切望している。
これらの目的と希望のすべてはコトゥーレイ州の憲法草案の前文に反映されている。
憲法前文
わたしたちカレン人は、友愛、統合、自由の精神に基づき、平和、安定、安全、社会進歩のために、この地の他の民族とともに(空白)連邦の一部となります。わたしたちは、自由、平等、自己決定権を求めるために、ひとつの民族としていかにわたしたちが激しく戦ったかを、そして、自分たちの基本的人権と、連邦制の枠組み内での自分たちの社会、文化、経済を自由に発展させるための権利を守ろうと、いかにきびしい覚悟をもっていたかを、けっして忘れることはないでしょう。
封建時代においては、わたしたちカレン人は、組織的にそして容赦なく弾圧され、収奪され、人間活動のあらゆる領域での前進の機会を奪われていました。抑圧と従属の体制がおわると、わたしたちは、勤勉に、そして自信をもって速やかな発展を成し遂げ、60年のうちに、持続的に発展する能力を持った文化的共同体となるに至りました。
しかし、ビルマがイギリスから独立すると、政治的未熟さと不寛容さ、そしてなによりも権力者たちの狂信的民族主義により、内戦がおこり、半世紀以上にわたる抑圧、従属、収奪の暗黒時代が到来しました。この暗黒時代において、すべての人が計り知れないほどの苦しみを受け、国は壊滅的な後退を余儀なくされました。
したがって、わたしたち、コートゥレイ州のカレン人、そして他州に暮らすカレン人は、この暗黒時代への回帰を避けるために、平和を愛好する他の民族と協力し、連邦の調和と安定、繁栄のためにつねに働くものとなるでしょう。