あるビルマ人が警察に逮捕された。
逮捕の理由についてはよく分からないのだが、警察署にそのまま拘留されるような重罪ではなかったようだ。彼は警察に「後に改めて出頭しなくてはならないから備えておくように」と言われてその日のうちに釈放された。
無理からぬことだが、彼はこの先自分がどうなるのか不安になった。刑務所に入れられるかもしれない。そこで、ヤンゴンにいる妻に相談すると、信心深い彼女は パゴダに行って占ってもらう。
お告げが出た。
「だれか力ある者と警察に行けば、汝の夫は災いを避けられるであろう」
電話で知らされた彼は、藁にもすがる思いでわたしに電話をかけてきた。いきさつを説明しわたしに警察に付き添って欲しいと頼む。
「パゴダで告げられた『力ある者』とはあなたのことです……」
「それ弁護士」
わたしは電話を切った。