カチン民族難民と戦争
中国・ビルマ国境訪問報告会(第1回)
2012年7月8日(日曜日)午後6時30分ー午後8時
豊島区東部区民事務所 第1集会室
在日カチン民族活動家+ビルマ・コンサーン
第1回となる今回の報告では、ビルマ政府との交戦状態にあるカチン政府(カチン独立機構、KIO)と、戦争によって生み出されたカチン人難民に焦点を当てます。
1 カチン州における戦争の概観
2 ライザで開催された会議の報告
3 難民と国内避難民の状況
【カチン州における戦争の概観】
1.状況
1994年の停戦を破り、2011年6月、ビルマ政府はカチン独立機構(KIO)に対して攻撃を始めた。戦争は一年以上立つ今も続き、交戦地帯では多くの難民が生まれている。
1−1.戦争の原因(ビルマ政府側)カチン民族が暮らす地域、とりわけカチン州には豊富な資源がある。
1)金・翡翠などの豊富な地下資源
2)森林資源
3)河川を利用した水力発電
4)中国への輸送路としての役割これらはビルマ政府にとっての主要な富の源泉となっている。
つまり、カチン州の支配は、現在のビルマ政府における軍の地位の優位を確保する上で不可欠。→今回の戦争は、軍の優位を保障する2008年憲法のもうひとつの顔といえる。
1−2.戦争の原因(カチン政府側)1947年のピンロン協定以来の、ビルマ人中心の政府に対する不信感が1961年にカチン独立機構を設立させた。その後1994年に停戦協定を結ぶが、ビルマ政府によるカチン州への「侵略」は止まず、不信感はいや増す結果に。カチン側としては、今回の戦争は、カチン人の自由とカチンの土地を守るためのやむを得ない戦いということになる。
【ライザで開催された会議の報告】
2 ライザで開催された会議の報告
期間と場所:6月27日ー29日 カチン州ライザ(KIO)
参加者: 日本からカチン民族機構(日本)KNO-Japan代表団3名
ボウムワン・ラロウ カチン民族機構代表(KNO)
その他KNO代表団
イギリス・デンマーク・タイなどのKNO、カチングループの代表
カチン独立機構の代表
目的と内容:
KIOがビルマ政府との停戦中に結成されたカチン民族機構(KNO)とKIOが開戦後はじめて公式に議論を行い、協力関係を確認。のちに声明が発表された。
声明の内容
1)ライザの首都でのKIOとKNOの会議。
2)KIOとKNOの協力。
3)UKA(United Kachin Army)をKIAに併合
4)カチン民族の解放のために協力。
KIO議長とKNO議長が署名。
【難民と国内避難民の状況】
3 難民と国内避難民
戦争の結果、大量の避難民が発生。ビルマ政府地域、カチン政府地域に国内避難民(IDP)として、中国に難民として8万人以上が避難生活を送っている。カチン政府地域には20を越える難民キャンプがある。これらのIDPキャンプには、KIOと地元のNGOが支援をしているが、十分ではない。UNHCRなどの国際的な支援の手も届きにくいため、キャンプによっては衛生的健康的に非常に厳しい状況にある。