2015/12/08

存在と無

チンの友人が引越しするにあたり連帯保証人をわたしに頼んできた。

あまり乗り気ではないが引き受ける。

しばらくして不動産屋から電話がかかってきて、連帯保証人の審査があるのでと言ってあれこれ尋ねてきた。

職業はと聞くので「無職です」と答えたら絶句してた。

だが、もし彼が哲学と論理学というものを知っていれば、言葉を失うことはなかったろう。というのも、無職は、無実の罪が罪の一つであるのと同じく、職の一つなのである。

この無こそ、古来よりあらゆる思想家が探求してきた尊い営みなのだが、審査会社はそうは見ないかもしれない。

その夕方、近ごろ同棲しだした在日ビルマ人難民から、婚姻届の証人となってほしい言われたので、署名した。幸せな二人にとってさいわいなことに、役所は証人の審査はしないようだ。