2015/12/04

もうひとつの選挙(3)

総会は祈りから始まり、引き続いて会長のニンザルンさんの演説。役員に、会員に、そしてわたしに感謝を告げ、「変わる時が来た」という一言で締めくくる。

それは先月結ばれたばかりのチン民族戦線とビルマ政府との歴史的な停戦合意を指すに違いなかった。

総会の内容はといえば、活動報告、会計報告と例年のごとく。CWO-Japanの報告も同時に行われ、会長のジャスミン・ングンタンさんは「わたしたちにはまだやらねばならないことがたくさんある」と語る。

わたしの隣には、ニンザルンさんの娘さんのハウカンチャンさんが座っている。彼女は日本生まれではないが日本で育ったので、日本語には問題ない。それで、いつものように同時通訳してくれるわけなのだが、やがてわたしは彼女の様子がおかしいのに気がついた。

膝に置いた手を神経質に動かし、しきりに指でぐるぐると見えない円を描いている。彼女を緊張させるものがあり、それに耐えきれないという感じだ。

わたしはますますこの総会に不穏な印象を抱かずにはおられなかった。