本部となるとさすがにでかくて、丸ごとビルひとつだ。
ところで、ここでどうしてこのアンナハダが注目を浴びるかについてもう少し説明したほうがいいかもしれない。
イスラム主義を掲げるこの政党がチュニジア人の期待を集めていることについてはすでに触れたが、チュニジア人だけでなく国際社会もまたこのアンナハダを注視している。それはこの政党の動き次第によっては、チュニジアが内戦のアルジェリア、あるいは原理主義のイランのようになる可能性があると考える人々がいるからである。
そうなったら大変だ。「アラブの春」は失速し、ヨーロッパは大きな市場と安価な労働力を失い、そのかわり厄介な「敵」と難民の流入に苦しむことになる。
もっともわたし(と多くのチュニジア人)はチュニジアが内戦状態になったり原理主義国家になるようなことはまずないと思っており、これはまさしく杞憂といっていい。
しかし、たとえそうだとしても、チュニジアが国家としてイスラムをどう扱うか、どのように政教分離を確立するか、どのように原理主義を押さえ込むかは非常に重要な事柄であるにちがいない。
そしてこの問題をめぐるキープレーヤーだと考えられているのが、イスラム政党のうちで最も支持を集めているこのアンナハダなのだ。
ところで、ここでどうしてこのアンナハダが注目を浴びるかについてもう少し説明したほうがいいかもしれない。
イスラム主義を掲げるこの政党がチュニジア人の期待を集めていることについてはすでに触れたが、チュニジア人だけでなく国際社会もまたこのアンナハダを注視している。それはこの政党の動き次第によっては、チュニジアが内戦のアルジェリア、あるいは原理主義のイランのようになる可能性があると考える人々がいるからである。
そうなったら大変だ。「アラブの春」は失速し、ヨーロッパは大きな市場と安価な労働力を失い、そのかわり厄介な「敵」と難民の流入に苦しむことになる。
もっともわたし(と多くのチュニジア人)はチュニジアが内戦状態になったり原理主義国家になるようなことはまずないと思っており、これはまさしく杞憂といっていい。
さて、本部はといえば、さすがに活気にあふれていた。人の出入りも多く、中には報道関係者もいる。しかも後で知ったのだが、ちょうどわたしが行ったときには国連の視察団も訪問していたとのことだった。
とはいえ、わたしはメディアでもなければどっかの機関の人間でもない。つまみ出されるかもしれん。そこでおそるおそる中に入る。
入り口には若い男性がいて党のチラシなどを配っている。中央にエレベーターがあって、右側に受付、左側に部屋がいくつかある。壁には全国の選挙区でのアンナハダのリストが所狭しと貼られている。
このとき同行してくれたのが、友人のワーセル氏で、彼が担当者らしき人と話をしてくれる(彼は日本語もできる観光ガイドだ。もっともわたしは彼がガイドになる前からの付き合いだ)。
1階と2階なら撮影してもいいという。そこで、写真を撮らしてもらう。
受付の様子。
各選挙区のリスト。
政党のパンフレットをもらいにきた若者たち。
撮影していると急に騒がしくなる。さっそうとした女性が玄関から入ってきたのだ。ビデオカメラを持ったカメラマンやインタビュアーがその後を追いかけ、彼女にマイクを向ける。
わたしはその女性が誰だかすぐにわかった。アンナハダのチュニス2選挙区の第1位の立候補者だ。「おいでなすった!」とばかりに、わたしもどさくさにまぎれて写真を撮る。
スアード・アブドッラヒーム
ベルギーのメディアの取材
リストの第1位
イスラム主義をというとチュニジアでは女性はたいていスカーフで髪の毛を隠しているものだが、この女性候補はそうせずに髪の毛を見せているので話題になっている、とワーセル氏が教えてくれた。