2013/10/25

サヨナラだけが

ビルマが変わりつつあるということもあるかもしれないが,それよりも日本の状況,つまり待てど暮らせど滞在が認められないという絶望的な日々に心身をすり減らして,ビルマへの帰国を余儀なくされる人がいる。

この前,ある難民認定申請中の人物がFacebookに日本語で次のような書き込みをした。

「さようなら日本 もう帰ります」

彼は日本のビルマ難民コミュニティで広く知られ,敬愛されている人だったから,多くの人が驚き,慌ててコメントを寄せた。

「本当に?」 「まだまだ」 「もう少し辛抱して!」……

わたしがこれに気がついたのは彼が投稿してから3時間ほど経ってからだった。

わたしにとっても忘れがたい人だったから,すぐに電話した。

……この電話は現在使われておりません……

おお,彼はもう電話を解約してしまったのだ! 今頃,きっと飛行機の中で,十何年ぶりかの故郷に思いを馳せているに違いない……

わたしは,熟慮の末に違いない彼の決意を妨げたくはなかったから,彼の投稿のコメント欄にただ感謝の気持ちのみを記したのであった。

そして,数週間が経った。その彼が今どうしているかと言うと……

実はまだ日本に居るのです。

(これが言いたいだけでした)