在日チン民族協会(CNC-Japan)が3月4日の夜、会員向けに無国籍問題に関するワークショップを開いた。
わたしはCNC-Japanの人とちょっと打ち合わせすることがあって、たまたま会場にやってきていたのだけど、「どうぞ」と言われたので、そのまま参加した。
無国籍問題というのは最近注目されてきた問題で、ビルマ難民に当てはめれば次のような場合がよくあるケースだ。
ビルマ難民同士で日本で結婚して、子どもが生まれた場合、政治難民なのでビルマ大使館では出生手続きができない。しかし、かといって、ビルマ難民が日本国籍を持つことはとても難しいので、出生届は出せるが、生まれてきた子どもは日本国籍を取れない。つまりどこの国籍にも属すことができない、無国籍となる。
もちろん無国籍だからといって、いろいろな面で不都合が生まれるわけではない。多くの無国籍の子どもたちが保育園から大学までいるし、少なくとも教育の点ではひどい不利益を被っているとはいえない。
ただ、ひとつ問題として指摘されるのが、外国に行くときで、無国籍の人はパスポートがないため、再入国許可というのが必要で、いろいろと面倒くさい。今時の中高生は修学旅行だ、語学留学だで日本を出ることも多いから、子どもによっては厄介な思いや、つらい思いをするかもしれない。
しかし、本当の問題が生じるのは、学生時代の後だ。例えば就職。無国籍だと就職が制限されるのではないか? それから、国籍を持つ親元を離れて、独り立ちしたときに何が起きる? 銀行、クレジットカードは大丈夫か? 結婚するときには? 子どもが生まれたら? あるいは、帰化することができるのか? それとも一生無国籍のままなのか?
親たちは、難民認定申請の結果、難民認定されたり、 在留許可を得たりして、一応の生活の安定を得たものの、自分たちの子ども、無国籍のまま成長している子どもをみるにつけ、心配にならざるをえない。将来になにか不都合が起きるのではないか、あるいは無国籍が障害となって望むような人生が生きられないのではないか……。
1988年の民主化運動以降、日本に逃げてきた人たちが、結婚し、子を生み親になった。これらの子どものうち最初の頃の世代、つまり1990年代はじめに生まれた子どもたちは、もう成人を迎える年頃だ。
もちろん、日本には昔から無国籍の子どもたちについて似たような問題があっただろうが、ビルマ難民の文脈では、無国籍問題とは今まさに難民たちが直面している熱い問題なのだ。
そして、CNC-Japanは会長のCin Lam Lunさんをはじめとして、無国籍の子どもの親である会員が結構多い。そんなわけで、CNC-Japanはしばらく前からこの問題に熱心に取り組んでいて、今回のワークショップも、その延長線上にある。
ワークショップの講師を務めたのはビルマ市民フォーラムの先生で、わたしはこの問題についてはよく知らなかったので勉強になった。ちなみに日本には1,200人の無国籍の子どもがいるそうだ。
しかし、質疑応答での「では具体的にどうしたらよいのか」という難民たちの切実な問題に関してはうまく答えられないようだった。
これはなにもこの講師の方が勉強不足なのではなくて、問題が新しく、情報の蓄積・共有があまり進んでいないため、いわば誰にも答えることができないのである。
講師の方が「無国籍ネットワーク」という団体を紹介していたが、こうした団体に色々な経験や情報がいずれ蓄積されるはずで、しばらく経てば、この問題ももっと取っ付きやすくなるに違いない。
わたしはCNC-Japanの人とちょっと打ち合わせすることがあって、たまたま会場にやってきていたのだけど、「どうぞ」と言われたので、そのまま参加した。
無国籍問題というのは最近注目されてきた問題で、ビルマ難民に当てはめれば次のような場合がよくあるケースだ。
ビルマ難民同士で日本で結婚して、子どもが生まれた場合、政治難民なのでビルマ大使館では出生手続きができない。しかし、かといって、ビルマ難民が日本国籍を持つことはとても難しいので、出生届は出せるが、生まれてきた子どもは日本国籍を取れない。つまりどこの国籍にも属すことができない、無国籍となる。
もちろん無国籍だからといって、いろいろな面で不都合が生まれるわけではない。多くの無国籍の子どもたちが保育園から大学までいるし、少なくとも教育の点ではひどい不利益を被っているとはいえない。
ただ、ひとつ問題として指摘されるのが、外国に行くときで、無国籍の人はパスポートがないため、再入国許可というのが必要で、いろいろと面倒くさい。今時の中高生は修学旅行だ、語学留学だで日本を出ることも多いから、子どもによっては厄介な思いや、つらい思いをするかもしれない。
しかし、本当の問題が生じるのは、学生時代の後だ。例えば就職。無国籍だと就職が制限されるのではないか? それから、国籍を持つ親元を離れて、独り立ちしたときに何が起きる? 銀行、クレジットカードは大丈夫か? 結婚するときには? 子どもが生まれたら? あるいは、帰化することができるのか? それとも一生無国籍のままなのか?
親たちは、難民認定申請の結果、難民認定されたり、 在留許可を得たりして、一応の生活の安定を得たものの、自分たちの子ども、無国籍のまま成長している子どもをみるにつけ、心配にならざるをえない。将来になにか不都合が起きるのではないか、あるいは無国籍が障害となって望むような人生が生きられないのではないか……。
1988年の民主化運動以降、日本に逃げてきた人たちが、結婚し、子を生み親になった。これらの子どものうち最初の頃の世代、つまり1990年代はじめに生まれた子どもたちは、もう成人を迎える年頃だ。
もちろん、日本には昔から無国籍の子どもたちについて似たような問題があっただろうが、ビルマ難民の文脈では、無国籍問題とは今まさに難民たちが直面している熱い問題なのだ。
そして、CNC-Japanは会長のCin Lam Lunさんをはじめとして、無国籍の子どもの親である会員が結構多い。そんなわけで、CNC-Japanはしばらく前からこの問題に熱心に取り組んでいて、今回のワークショップも、その延長線上にある。
ワークショップの講師を務めたのはビルマ市民フォーラムの先生で、わたしはこの問題についてはよく知らなかったので勉強になった。ちなみに日本には1,200人の無国籍の子どもがいるそうだ。
しかし、質疑応答での「では具体的にどうしたらよいのか」という難民たちの切実な問題に関してはうまく答えられないようだった。
これはなにもこの講師の方が勉強不足なのではなくて、問題が新しく、情報の蓄積・共有があまり進んでいないため、いわば誰にも答えることができないのである。
講師の方が「無国籍ネットワーク」という団体を紹介していたが、こうした団体に色々な経験や情報がいずれ蓄積されるはずで、しばらく経てば、この問題ももっと取っ付きやすくなるに違いない。