2013/06/26

入管のひげ剃り

在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)の会員の仮放免申請のため品川の入管に行き,まず同会の副会長のラミョーさんと一緒に面会をした。

どうして先に面会するかというと,申請書に被収容者のサインが2カ所必要なためだ(ただしこれは被収容者と申請人が異なる場合だ)。面会の前に申請書を差し入れし,面会中にサインしてもらい,面会後に受け取るというわけだ。

面会時間は30分。サインが済んでしまえば雑談だ。

その会員は口ひげと顎ひげを生やしている。それはいいのだが,手入れもしてないようすで,見栄えが良くない。

ラミョーさんが,外に出たらひげはちゃんと剃ったほうがいいよ,とアドバイスする。

彼は答える。「ええ,もちろん。でも,ここでは仕方がないのです」

で,いろいろな文化的背景を持つ人が,入管の収容所のような制限の多い生活を送る状況ならではの興味深い話をしてくれた。

収容所の中では電気ひげ剃りを所有することができるのだが,おそらく空いているコンセントがほとんどないのだろう,充電のたびにいろいろ問題が生じる。

そんなわけで自分のひげ剃りを持っていない人も多く,彼もその1人だ。

で,みんなどうしてるか。ありがたいことに,共用の電気ひげ剃りがある。

「ですが」と彼は言う。「これは使いたくないです。ビルマ人は口がとても大事だから」

被収容者のなかには驚くべきことにそれで陰毛の手入れをする人もいるのだという。

わたしだって口に当てたくない,そんなひげ剃り。

だが,調べてみれば分かるが,陰毛の処理が身だしなみのひとつとされている文化も多い。なので,剃る文化の人のほうはその人のほうで,剃らない人に対して不愉快な思いを抱いているかもしれない。「お前ら,床にまき散らしやがって!」と。

どっちの文化が優れているのか,わたしには分からない。生えてきた毛に罪はないということ以外には……