2014/10/24

白髪

入管に収容されている女性は、無理からぬことだが、疲れた顔をしているし、また老けて見える。

だから、収容される前に面識がない女性の場合は、面会の度に目にするその草臥れた顔がわたしにとってのその人となってしまい、それで、仮放免などされてしばらく後に会ったときに、あれこんなに若くてきれいで明るい女性だったっけかと思うこともしばしばだ。

男性は化粧をしないので入管の中にいたときとの差はそれほど大きくはない。

しかし、わたしが仮放免の申請をした人に、白髪の男性がいて、何とか釈放ということになった。

その時に彼が言うには「我、常日ごろ白髪染め愛用せり。しかるに入管の中にこれを使うを許されず、頭髪ことごとく白く戻る。今、汝の助けによりて獄を出ることを得たり。帰りて直ちにふたたび染めんとす。汝、我の白髪を見ることこれが最後なり」

どうぞ最後にしてください。

牛久入管内から見た風景。白髪のように白い雲が漂う。

韓国からの電話

外国から電話がかかってくる。

+82と表示されるのでどこからかと調べてみたら、韓国の国番号だ。

韓国には知り合いはいない。

わたしの日ごろ愛国的な言動に反感を持つ韓国人からの嫌がらせの電話か、それともわたしの日ごろ反日的な言動に胸を高鳴らせた韓国人からの応援の電話か。

それとも、韓国海苔の宣伝部長にでも選ばれたか。

何度もしつこく電話がかかってくるので、思い切って出てみた。

牛久の入管に収容されているビルマ難民の女性からだった。

通話料を安くするためのプリペイドカードの番号が韓国経由というわけだった。

彼女は品川での収容期間を含めて一年近く収容されている。そして、わたしはBRSAのメンバーである彼女のために五回目の仮放免申請を行い、その結果を待っているところだった。

入管からの返事はないかどうか彼女は聞き、わたしはこの切実な問いに「ない」と言って切った。

幸いにもそれからしばらくして仮放免許可が下りた。

牛久の入管

2014/09/04

ヘイト大好き!

在日中国人、あるいは在日韓国人、在日北朝鮮人に対するヘイトスピーチが今や花盛りで、これについて人種差別だ、民族差別だと怒っている人がいるが、それは違う。

たとえば、このようなヘイトスピーチを行う人々が、首尾よく日本から、在日中国人、在日韓国人、在日北朝鮮人のみならず、すべての在日外国人を排斥することに成功したとしたら、所期の目的は達成したとしっかり満足するだろうか? もはやそのようなことを言うのはやめて愛のみを説き出すとか?

到底ありえない。

今度は、たとえばそれが東京の人だったら、在京関西人に対するヘイトスピーチを今度はおっぱじめる、これ間違いない。

そして、関西人がいなくなれば、今度は、まず群馬県民を血祭りに上げることだろう! 哀れなグンマー亡き後は、茨城県民、埼玉県民、神奈川県民、千葉県民と死屍累々だ。

その次は二十四区から市のヤツらを追い出せとなる。

多摩とか日野とかの野蛮人が駆逐された後は、区と区の、さらに町と町、丁と丁、番地と番地同士で激しいヘイトスピーチが展開されることは疑いない。

しかも、人間を区別するのは場所だけではない。我が国では職業差別はもう伝統だ。女性差別は骨の髄までだ。家柄で群がるのはすでに習性だ。出身大学を聞くと涎を垂らす条件反射。ヘイトの種にゃあ事欠かない。

今や犬だって排斥されつつある。言葉が通じないので、いきなり実力行使だったが。

そう、人種とか民族とかそんなんじゃないんだ。

もうそもそも誰かが嫌いだから、憎んでいるからヘイトスピーチに精を出してるんじゃあない。ただヘイトスピーチそのものが好きなんで、その対象なんか何だっていいというわけ。

だから、在日中国人、あるいは在日韓国人、在日北朝鮮人に対するヘイトスピーチを行う連中は、実際のところ、これらの人々を嫌いってわけじゃないんだ。精いっぱい嫌いになろうとしてるけど。むしろ好きかもしれない。彼らのおかげで大好きなヘイトスピーチに打ち込むことができるのだから。

それくらい連中にとってはヘイトは甘い。

チョコといっしょでやめられん。

大久保通り

大久保で韓国料理を期待していたわたしをサイゼリヤ大久保店に連れていってくれたカレンの友人の話だが、わたしは彼にいろいろ話を聞く必要があったので、その後もたびたび彼とこの店に行った。

一昨日も行った。

ピザ食べた。

で、近くにある彼の家にも連れていってもらった。

それは一軒家で、彼と四人のビルマ人がシェアしてる。しかも、その四人のうち三人はBRSAの会員だ。

わたしが帰ろうとすると、カレン人の友人と一人のBRSAの会員が駅まで送ってくれた。

大久保通りまで出れば後はわかるので断ったのだが、結局、二人は大久保駅どころか新大久保駅まで見送ってくれたのだった。

三人で歩いていると、向こうからよく知るカレン人の女性が歩いてくる。彼女の家は近くにある。わたしは少し立ち話をして別れる。

もう少し大久保通りを進むと、今度は別の知り合いが自転車に乗ろうとしてた。彼はBRSAの役員の一人だ。

二人の友人たちが「たくさん会いますね」と驚く。

ハハハ、と笑いながらわたしは思う。これが三人になったら面白いぞ。

大久保駅を越えてしばらくすると、ホントにもう一人別の知り合いが歩いてきた。

カチンの人だ。しかし、わたしには気がついていない。向こうが気がつかなければわたしは声などかけないが、なにせ前人未到の記録がかかっている。

「お久しぶりです!」

珍しく大声を上げたらドギマギさせてしまった。なんとも後味の悪いチャレンジとなった。

カレン人のおごり

カレン人の友人が飯をご馳走してくれるというので、大久保に行った。

彼はなかなか高級な焼き肉屋で働いており、わたしは以前その店でもおごってもらっていた。

駅に着くと、待っていた彼が「ちょっと近くにいいイタリアンがある」という。

で、連れてってくれたのがサイゼリヤ。

いいえ、おごってもらう立場です。何も言うことはありません。いいレストランです。ですが、その店、ウチから歩いて五分のところにもあって、子どもを連れてしょっちゅう行くんです……。

カレン人というのは奇策を弄したり、変に気取ったりすることを好まない人々だ。この民族にとっては日常的であるということが最上の価値を持つのである。

ゆえに、友人をもてなすのに、日本人がたまにするように奮発して普段行かないようなレストランに行くなんてありえない。なによりも馴染みの店に連れて行くのが最良のチョイスなのだ。

しっしかし、大久保ですぜ? あの韓国料理屋のひしめく!

あれ、変だな、なんだかピザがチヂミに見えてきやがった……。

2014/04/16

BRSA緊急報告会のお知らせ

以下のイベントを行います。

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【BRSA緊急報告会のお知らせ】

在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)はネーミョージンさんの即時釈放を求めます!

2014年4月1日,政治・社会活動家として知られ,農民の人権と生活の向上のために闘い続けてきたネーミョージン(NAY MYO ZIN)さんがヤンゴンで逮捕され,3ヶ月の禁固刑を言い渡されました。

【逮捕の経緯】
今年1月18日にヤンゴン中心部のマハーバンドゥーラ公園周辺で,ビルマ(ミャンマー)各地からやってきた農民たちによる抗議デモが行われました。このデモを無許可で行ったとして,主催者のひとりであるネーミョージンさんが逮捕されました。

逮捕の根拠となった法律は「平和的集会及び平和的行進法第18条」。これはかねてから反政府活動を規制し,政治活動家を弾圧するために,ビルマ政府が用いている法律であり,ビルマ国内ばかりでなく国際的にも非難されています。

ネーミョージンさんも長らくこの法律の廃止のために身を呈して闘ってきた活動家のひとりです。彼はこの法律や同様の悪法により,たびたび投獄される危機に遭い,実際今回のように投獄されてきました。しかし,彼は自分が投獄されるという事態を却って悪法廃止の好機と捉え,ネットなどを通じて世論を喚起しています。

わたしたち,在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)も,彼の闘いに賛同し,ビルマ政府の不正と悪法を糺し,より民主的なビルマのために彼とともに働くものです。

わたしたちは,より民主的なビルマを作るためならば投獄をも恐れないネーミョージンさんの強い意志に敬意を抱きつつ,この悪法により自由を奪われた彼のの即時釈放を強く求め,そのための働きかけを行っています。

【緊急報告会】
BRSAはかねてからネーミョージンさんと協力関係にあり,2013年11月13日には,ビルマで彼が警察に逮捕される瞬間にも居合わせました。

今回の報告会では,ネーミョージンさんの活動とビルマの現状をより多くに方々知っていただき,彼の釈放を求める動きを広げるために,昨年の逮捕の貴重な映像を中心に,彼の活動を紹介し,また今回の逮捕の経緯についても詳しく報告します。(3月14日と28日に開催した報告会と内容は重なります)。

詳しくはFREE NAY MYO ZIN(http://brsajp.blogspot.jp/p/blog-page_3.html)をご覧ください。

日時:4月25日(金)19:00~21:00
場所:BRSA事務局
(東京都台東区上野3-12-5大同ビル2F Burma Concern内)
JR山手線御徒町駅より徒歩3分。御徒町南口1(駅前広場側)を秋葉原方面に進み,
3本めの通り(居酒屋南部百姓家の角)を入る。その先の郵便ポストがあるビル。

参加費:1,000円(資料代など)
連絡先:brsajp@gmail.com
主催:在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)

【ネーミョージンさん略歴】
1975年6月10日生れ。1994年,軍士官学校に入学し,2005年まで軍人生活を送る。それ以降は腐敗した軍事政権の告発者としてシンガポールで活動する。2007年9月のサフラン革命に参加するため帰国。以後,地下政治活動を行う。2009年,国民民主連盟(NLD)に加入。青年献血グループのボランティアとして活動。2011年4月2日ヤンゴン警察の公安部に逮捕され,のちに電子取引法第33条a項違反により10年の刑を宣告される。2012年1月13日,大統領恩赦により釈放。以後,ミャンマー社会発展ネットワーク(MSDN)を結成し,①貧困に苦しむ農民たちの生活向上と②「法の支配」の確立を目的にさまざまな活動を行う。

【在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)】

2008年に在日ビルマ難民と日本人によって設立された政治団体。あらゆるビルマの難民・国民のため,ビルマの民主化のため,さまざまな政治活動・支援活動を行っています。ウェブサイト:http://brsajp.blogspot.jp

Victor Biak Lian

チン民族の人権問題の活動家のビクター・ビャックリアンさんが,トランジットで日本に立ち寄り,在日チン民族協会のメンバーと1時間ばかり会合を持った。

4月13日のことで,場所はCNC-Japanオフィス(ビルマ・コンサーン事務所内)。

わたしもどうぞと言われたので喜んで加わった。ビクターさんはかつては亡命者として国外で活動していたが,今はビルマのヤンゴンとタイのチェンマイを拠点に活動している。

ビルマの変化,チンを含む非ビルマ民族の政治的状況,チン州のために何ができるか,など興味深い話が聞けた。そのうちここでも載せたいと思う。